「戸建てなのに光回線の工事ができない」と断られてお困りではありませんか。この記事では、工事ができない主な5つの原因と、諦める前に試せる確認方法を解説します。結論、工事ができない場合でも、工事不要のホームルーターやケーブルテレビ回線など、あなたに合ったインターネット環境を整える方法は必ずあります。5つの代替案を徹底比較し、最適な選び方まで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
戸建てで光回線の工事ができない場合に考えられる5つの原因
心待ちにしていた光回線の申し込み。しかし、現地調査の結果「工事不可」と判定されてしまうケースは、残念ながら珍しくありません。一体なぜ、自宅に光回線を引くことができないのでしょうか。その原因は、物理的な問題から法律上の制約まで多岐にわたります。ここでは、戸建てで光回線の工事ができない代表的な5つの原因を詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせ、原因を特定する手がかりにしてください。
原因1 電柱から自宅までの距離が遠いまたは障害物がある
光回線は、主に最寄りの電柱に設置された「光クロージャー」と呼ばれる箱から、光ファイバーケーブルを自宅まで引き込んで開通させます。この電柱から自宅までの物理的な距離や、その間にある障害物が原因で工事ができないケースが最も一般的です。
具体的には、以下のような状況が考えられます。
- 電柱との距離が遠すぎる: 引き込む光ファイバーケーブルの長さには限界があり、電柱から自宅までの距離が長すぎるとケーブルが届きません。また、距離が長くなるほど信号が弱くなる(減衰する)ため、安定した通信品質を保証できず、工事不可と判断されることがあります。
- 間に物理的な障害物がある: 電柱と自宅の間に、川や崖、他人の家の建物、大きな樹木などがあると、ケーブルを安全に架線(空中に渡すこと)できません。道路を横断する場合も、交通量や道路の幅によっては許可が下りないことがあります。
これらの物理的な問題は、申し込み後の現地調査で専門の作業員が判断します。自分では問題ないと思っていても、プロの目から見ると安全基準を満たせないことがあるのです。
原因2 自宅周辺に光ファイバーケーブルの設備がない
次に考えられるのが、お住まいの地域が光回線の提供エリア外、またはエリア内でも設備が不足しているという根本的な原因です。
光回線を利用するためには、大前提として自宅の近くまで光ファイバーケーブル網が整備されている必要があります。都市部ではほとんどの地域で整備が進んでいますが、山間部や郊外の一部地域では、まだ設備が整っていない「未提供エリア」が存在します。
また、「提供エリア内」と判定されても、工事ができない場合があります。それは、最寄りの電柱にある光ファイバーの分岐装置(光クロージャー)のポート(接続口)に空きがないケースです。マンションで全部屋が契約している状態に近いイメージで、戸建てエリアでも分岐装置の容量がいっぱいだと、新たな契約者は物理的に接続することができません。この場合、通信事業者が設備を増設するまで待つ必要があります。
原因3 光回線を引き込むための配管(CD管)がないまたは詰まっている
屋外から引き込んだ光ファイバーケーブルは、最終的に屋内の光コンセントに接続されます。このとき、光ファイバーを屋内に引き込むための配管(CD管)がない、または利用できない状態になっていると、工事が難航したり、不可となったりすることがあります。
多くの戸建てでは、電話線などを通すために壁の内部にあらかじめ配管が設置されています。この配管を利用すれば、建物を傷つけることなくスムーズにケーブルを屋内に通すことができます。しかし、以下のような問題があると工事ができません。
- 配管(CD管)が元々ない: 築年数の古い建物などでは、配管が設置されていない場合があります。その際は壁に穴を開ける必要がありますが、建物の構造(鉄筋コンクリートなど)や美観上の問題で穴あけが許可されないことがあります。
- 配管が詰まっている、または破損している: 配管内にゴミや他のケーブルが詰まっていたり、途中で破損・圧着していたりすると、新たに光ファイバーを通すことができません。
- 配管の曲がりが急すぎる: 光ファイバーケーブルは非常にデリケートで、急な角度で曲げると折れて断線してしまいます。配管の曲がり(カーブ)がきつすぎると、ケーブルを通すことができず工事不可となります。
原因4 私道や他人の土地を経由する必要があり所有者の許可が下りない
見落としがちですが、非常に多いのがこの「土地の所有権」に関する問題です。電柱から自宅まで光ファイバーケーブルを引き込む際に、公道以外の土地(私道や隣接地など)の上空や地下を通過する必要があり、その土地の所有者から工事の許可が得られないケースです。
たとえ自宅の敷地であっても、そこに至る道が私道で複数の所有者と共有している場合、原則として共有者全員の承諾(承諾書への署名・捺印)が必要になります。一人でも反対する方がいると、工事を進めることはできません。
具体的に許可が必要となる主なケースを以下に示します。
| ケースの例 | 必要な許可・承諾 | 備考 |
|---|---|---|
| 私道の上空や地下にケーブルを通す | 私道の共同所有者全員の承諾 | 分譲地などでよく見られるケースです。所有者間の関係性が影響することもあります。 |
| 隣の家の敷地の上空をケーブルが通過する | 隣地の所有者の承諾 | 越境承諾とも呼ばれます。わずかな通過でも許可が必要です。 |
| 他人が所有する電柱や壁面に設備を取り付ける | 設備所有者の承諾 | 電力会社の電柱(電灯柱)ではなく、個人や他社が所有する柱を利用する場合に発生します。 |
この許可取得の交渉は、基本的には契約者自身が行う必要があります。近隣住民との関係性が良好でない場合、許可を得るのが難しくなる可能性があります。
原因5 景観保護地区や歴史的建造物など特別なエリアに住んでいる
最後は、法律や条例による特殊な制約です。お住まいの建物や地域が、法律や条例によって工事が制限されている場合、光回線の工事ができないことがあります。
例えば、以下のようなエリアや建物が該当します。
- 景観保護地区: 歴史的な街並みや自然景観を守るため、建物の外観を変更する工事が厳しく制限されているエリア。電柱の新設や、壁への光キャビネット(引き留め金具)の設置が許可されないことがあります。
- 文化財保護法などで指定された建物: 国や自治体によって指定された歴史的建造物や文化財の場合、建物の価値を損なう穴あけなどの工事は原則として認められません。
- 国立公園内などの自然公園法指定エリア: 自然環境の保護が優先されるため、新たな工作物の設置が制限される場合があります。
これらのケースでは、光回線事業者の一存では工事の可否を判断できず、地方自治体や国の関連機関への申請・許可が必要となります。手続きが複雑であったり、そもそも許可が下りなかったりするため、工事不可となる可能性が高い原因の一つです。
本当に工事できない?諦める前に試したい2つの確認方法
一度、光回線の事業者から「工事ができません」と断られてしまうと、もう戸建てで光回線を使うのは無理だと諦めてしまいがちです。しかし、申し込んだ事業者や窓口が違うだけで、結果が変わる可能性は十分にあります。
光回線が引けない理由は様々ですが、その原因によっては解決策が存在するかもしれません。代替案を検討する前に、本当に打つ手がないのか、以下の2つの方法を試してみましょう。
別の光回線事業者(電力系や独自回線)に問い合わせる
あなたが最初に申し込んだ光回線は、NTTの回線網を利用した「フレッツ光」や「光コラボレーション(ドコモ光、ソフトバンク光など)」ではありませんでしたか?もしそうであれば、NTTとは異なる独自の光ファイバー網を持つ事業者に問い合わせることで、工事が可能になるケースがあります。
光回線は、大きく分けて以下の3種類に分類されます。NTT系の設備が利用できなくても、電力系や独自回線の設備があなたの自宅近くまで来ている可能性があるのです。
| 回線の種類 | 代表的なサービス名 | 特徴 |
|---|---|---|
| NTT系(フレッツ光・光コラボ) | ドコモ光、ソフトバンク光、楽天ひかり など | NTT東日本・西日本の回線網を利用。提供エリアが全国で最も広いが、この回線で工事不可と判断されると、多くの光コラボ事業者でも同様の結果になる。 |
| 電力系 | eo光(関西電力系)、コミュファ光(中部電力系)、Pikara(四国電力系)など | 各地域の電力会社が独自に敷設した回線網。電柱など独自の設備ルートを持っているため、NTT系がダメでも引き込める可能性がある。提供エリアが地域限定。 |
| 独自回線 | NURO光 | NTTや電力会社とは別に、自社で回線網を敷設。独自の設備を利用するため、NTT系で工事不可でも契約できる可能性がある。ただし、提供エリアは限定的。 |
例えば、「NTTの設備が電柱まで来ていない」という理由で断られた場合でも、近所の電柱まで電力系の光ファイバーが来ていれば、そちらの回線なら契約できるかもしれません。諦める前に、まずはお住まいのエリアで提供されている電力系や独自回線の事業者にエリア判定を依頼し、工事が可能か問い合わせてみましょう。その際、以前断られた理由を伝えると、より具体的な調査をしてもらえることがあります。
NTTに直接連絡して設備状況を確認してもらう
光コラボ事業者に申し込み、工事を断られた場合、その事業者はNTTから伝えられた情報を元に「工事不可」と判断しているに過ぎません。事業者によっては、設備の詳細な状況まで把握していないケースもあります。
そこで試したいのが、回線設備の所有者であるNTT東日本・西日本に直接、設備状況の確認や相談をすることです。NTTの専門部署に問い合わせることで、より正確で詳細な情報を得られる可能性があります。
NTTに直接問い合わせることで、以下のようなことが分かる場合があります。
- 自宅周辺の光ファイバー設備の有無や空き状況の詳細
- 工事ができない具体的な理由(物理的な障害、距離の問題など)
- 近隣エリアにおける今後の設備導入・拡大計画
特に重要なのが「今後の設備計画」です。現時点では設備がなくても、近隣で宅地開発などが進んでいる場合、それに合わせて数ヶ月後には設備が新設され、光回線が利用可能になるケースも少なくありません。
問い合わせは、NTT東日本・西日本の公式ウェブサイトにある「設備状況に関するご相談窓口」などから行えます。連絡する際は、以下の情報を準備しておくとスムーズです。
- 正確な住所(番地、建物名、部屋番号まで)
- 氏名と連絡先
- 以前、他の事業者から工事を断られた経緯(事業者名、断られた時期や理由など)
一度断られたからといって、未来永劫光回線が使えないと決まったわけではありません。これらの方法で再調査を依頼し、あらゆる可能性を探ってみることが重要です。
【本題】光回線が工事できない戸建てにおすすめの代替案5選
光回線の工事ができないと診断されても、インターネットを諦める必要は全くありません。あなたのライフスタイルやインターネットの利用目的に合わせて、最適な代替案が必ず見つかります。ここでは、工事不要ですぐに始められるものから、特殊なエリアに対応できるものまで、5つの選択肢をメリット・デメリットと合わせて詳しく解説します。
代替案1 工事不要ですぐ使えるホームルーター(置くだけWi-Fi)
ホームルーターは、現在最も人気のある光回線の代替案です。コンセントに挿すだけでWi-Fi環境が整う手軽さが最大の魅力で、「置くだけWi-Fi」とも呼ばれています。携帯電話と同じモバイル回線(4G/5G)を利用するため、光ファイバーケーブルを引き込む工事は一切不要。申し込みから数日で端末が届けば、その日からすぐに高速インターネットを使い始められます。
ホームルーターのメリットとデメリット
手軽さが魅力のホームルーターですが、メリットとデメリットをしっかり理解した上で選びましょう。
- メリット
- 面倒な工事が一切不要
- 端末が届けば即日利用開始できる
- 引っ越しの際もコンセントを挿し直すだけで手続きが簡単
- データ容量が無制限のプランが多い
- 複数のスマートフォンやPCを同時に接続できる
- デメリット
- 光回線と比較すると通信速度や安定性で劣る場合がある
- 基地局からの距離や障害物など、設置場所によって電波状況が左右される
- オンラインゲームの応答速度(Ping値)を重視する用途には不向きなことがある
- 原則として契約住所以外での利用はできない
おすすめのホームルーター3選を比較
現在、主に3つのキャリアからホームルーターが提供されています。ご自身のスマートフォンのキャリアと合わせることで、セット割引が適用されてお得になるケースが多いです。
| サービス名 | ドコモ home 5G | au ホームルーター 5G (WiMAX) | ソフトバンクエアー |
|---|---|---|---|
| 月額料金 | 4,950円 | 5,005円〜 | 5,368円 |
| 端末代金 | 実質無料(月々サポート適用時) | 実質無料(キャンペーン適用時) | 実質無料(月月割適用時) |
| 最大通信速度(下り) | 4.2Gbps | 4.2Gbps | 2.1Gbps |
| データ容量 | 実質無制限 | 実質無制限 | 実質無制限 |
| スマホセット割 | ドコモ | au / UQモバイル | ソフトバンク / ワイモバイル |
※料金や速度は2023年時点の情報であり、プランやキャンペーンによって変動します。
通信の安定性を重視するならドコモ home 5G、auやUQモバイルのスマホユーザーならau ホームルーター 5G、キャンペーンのお得さを重視するならソフトバンクエアーがおすすめです。それぞれの公式サイトで提供エリアを確認し、ご自身の環境に合ったものを選びましょう。
代替案2 安定性を重視するならケーブルテレビ(CATV)回線
お住まいの地域にケーブルテレビの設備がある場合、その回線を利用してインターネットに接続する方法もあります。テレビ放送用の同軸ケーブルを使って通信を行いますが、近年は光ファイバーと組み合わせた「光ハイブリッド方式」が主流で、光回線に近い安定性と速度を実現しているサービスも増えています。
NTTの光回線とは異なる独自のインフラを利用しているため、NTTの設備が理由で工事を断られた場合でも、ケーブルテレビ回線なら契約できる可能性があります。
ケーブルテレビ回線のメリットとデメリット
- メリット
- NTTの光回線が提供エリア外でも利用できる可能性がある
- テレビや電話サービスとセットで契約すると料金が割安になる
- モバイル回線を利用するホームルーターより通信が安定している
- デメリット
- 提供エリアが限定的(地域のケーブルテレビ局による)
- 光回線(FTTH)に比べて上り(アップロード)の速度が遅い傾向がある
- インターネット単体での契約だと料金が割高になる場合がある
J:COM(ジェイコム)などが代表的な事業者です。お住まいの地域のケーブルテレビ局を調べて、インターネットサービスの提供があるか問い合わせてみるのが良いでしょう。
代替案3 外出先でもインターネットを使いたいならモバイルWi-Fi
モバイルWi-Fiは、手のひらサイズの持ち運び可能なルーターです。自宅だけでなく、通勤中の電車やカフェ、出張先など、場所を選ばずにインターネット環境を構築できるのが最大の強みです。一人暮らしの方や、自宅でのインターネット利用頻度がそれほど高くない方にとっては、十分な選択肢となります。
モバイルWi-Fiのメリットとデメリット
- メリット
- 家でも外でも使える高い携帯性
- 工事不要で、契約後すぐに利用できる
- ホームルーターよりも月額料金が安いプランが多い
- デメリット
- 定期的なバッテリー充電が必要
- 通信の安定性や速度は固定回線やホームルーターに劣る
- データ容量に上限があるプランが多く、超過すると速度制限がかかる
- 複数人での同時利用や大容量通信には向かない
WiMAXや、各キャリアが提供するポケットWi-Fiなどが代表的です。利用するデータ量に応じて様々なプランが用意されているため、ご自身の使い方に合ったものを選びましょう。
代替案4 山間部など特殊なエリアなら衛星インターネット
光回線や携帯電話の電波が届かない山間部や離島にお住まいの場合、衛星インターネットが唯一の解決策になることがあります。自宅に設置した専用アンテナと、宇宙空間の人工衛星を経由して通信を行う仕組みです。物理的なケーブルが不要なため、提供エリアが非常に広いのが特徴です。
近年では「Starlink(スターリンク)」などのサービスが登場し、従来の衛星通信の弱点であった通信速度や遅延が大幅に改善され、動画視聴やオンライン会議も可能なレベルになっています。ただし、アンテナなどの初期費用や月額料金は他のサービスに比べて高額になる傾向があります。まさに、他のどの手段も使えなかった場合の「最後の砦」と言えるでしょう。
代替案5 ADSL回線(※新規受付はほぼ終了)
ADSLは、アナログ電話回線を利用したインターネット接続サービスです。かつては主流でしたが、光回線の普及に伴いサービスは縮小しています。NTT東日本・西日本が提供する「フレッツ・ADSL」は2023年1月31日をもってサービスを終了しており、その他の事業者も新規の申し込み受付はほぼ終了しています。
そのため、これから新たにインターネット回線を契約する方にとって、ADSLは現実的な選択肢とは言えません。もし中古住宅などでADSL回線が残っていたとしても、より高速で安定した他の代替案を検討することをおすすめします。
用途別に解説 光回線が工事できない戸建ての最適なネット回線の選び方
光回線の工事ができなくても、インターネットを快適に利用する方法はあります。しかし、紹介した代替案にはそれぞれ一長一短があり、「どれを選べば良いかわからない」と感じる方も多いでしょう。ここでは、あなたのライフスタイルやインターネットの主な利用目的に合わせて、最適なネット回線の選び方を具体的に解説します。
オンラインゲームや高画質動画を快適に楽しみたい人
オンラインゲーム(特にFPS/TPSなどコンマ秒の反応が求められるもの)や、4K・8Kといった高画質動画のストリーミング再生をストレスなく楽しむためには、通信速度だけでなく「通信の安定性」と「Ping値(応答速度)」が非常に重要になります。
この用途で最もおすすめなのは「ケーブルテレビ(CATV)回線」です。ケーブルテレビ回線は、光回線と同様に有線で接続するため、無線通信であるホームルーターに比べて電波干渉を受けにくく、通信が安定しやすいのが最大のメリットです。Ping値も比較的低く抑えられる傾向にあり、ラグの発生を最小限にしたいゲーマーにとっては最適な選択肢と言えるでしょう。
次点の選択肢として「5G対応のホームルーター」が挙げられます。5Gエリア内であれば、下り速度は光回線に匹敵するほどの高速通信が期待できます。ただし、無線通信の特性上、時間帯や周囲の利用状況、障害物などによって速度やPing値が不安定になる可能性がある点は理解しておく必要があります。本格的な対戦ゲームには不向きな場面もありますが、動画視聴や比較的ラグが気にならないジャンルのゲームであれば、十分快適に利用できるでしょう。
用途別おすすめ度比較(ゲーム・高画質動画)
| 回線種別 | 安定性 | 速度(下り) | Ping値(低さ) | 総合評価 |
|---|---|---|---|---|
| ケーブルテレビ回線 | ◎ | ○ | ◎ | 最もおすすめ |
| ホームルーター(5G) | △ | ◎ | △ | エリア次第でおすすめ |
| モバイルWi-Fi | × | ○ | × | あまりおすすめしない |
※評価は一般的な傾向です。お住まいのエリアや利用環境によって異なります。
テレワークやWeb会議で安定した通信が必要な人
テレワークやオンライン授業では、途中で映像や音声が途切れることなく、スムーズにコミュニケーションが取れる環境が不可欠です。特にWeb会議では、自分の映像や音声を相手に送る「上り(アップロード)速度」も重要になります。
この場合も、やはり有線接続で通信が安定している「ケーブルテレビ(CATV)回線」が最も適しています。大容量のファイルを送受信する機会が多い方や、重要な会議で絶対に通信を途切れさせたくない方には、ケーブルテレビ回線が安心です。
「ホームルーター」も有力な選択肢です。特に5G対応のホームルーターは上り速度も比較的高速なため、Web会議も問題なくこなせます。ただし、安定性を最大限に高めるために、パソコンなどの主要なデバイスはWi-Fi接続ではなく、LANケーブルでホームルーター本体と直接有線接続することをおすすめします。また、電子レンジなど電波干渉を起こす家電から離れた、窓際の開けた場所に設置するといった工夫も有効です。
用途別おすすめ度比較(テレワーク・Web会議)
| 回線種別 | 安定性 | 上り速度 | 導入の手軽さ | 総合評価 |
|---|---|---|---|---|
| ケーブルテレビ回線 | ◎ | ○ | △ | 最もおすすめ |
| ホームルーター | ○ | ○ | ◎ | 手軽さ重視ならおすすめ |
| モバイルWi-Fi | △ | △ | ◎ | バックアップ用として |
一人暮らしで手軽にインターネットを始めたい人
「難しい手続きは面倒」「引っ越すかもしれないので、身軽にしておきたい」という一人暮らしの方や、Webサイトの閲覧やSNS、動画視聴がメインで、そこまで高速通信を求めない方には、手軽さが魅力のサービスがおすすめです。
この用途で最もおすすめなのは、工事不要でコンセントに挿すだけですぐに使える「ホームルーター(置くだけWi-Fi)」です。申し込みから数日で端末が届き、面倒な設定もほとんどなくインターネット環境が整います。引っ越しの際も、Webで住所変更の手続きをすれば、そのまま新しい家で使える手軽さが大きなメリットです。データ容量も実質無制限のプランが多く、通信量を気にせず使えるのも嬉しいポイントです。
もし、自宅だけでなく外出先やカフェ、移動中の電車内などでもインターネットを使いたいというニーズがあるなら「モバイルWi-Fi」が最適です。スマートフォン(スマホ)のデータ通信量(ギガ)を節約したい方にもぴったりです。ただし、ホームルーターに比べてバッテリー駆動のため通信の安定性がやや劣る点や、プランによってはデータ容量に上限がある点には注意が必要です。
用途別おすすめ度比較(手軽さ・一人暮らし)
| 回線種別 | 手軽さ | 月額料金 | 利用場所 | 総合評価 |
|---|---|---|---|---|
| ホームルーター | ◎ | ○ | 自宅のみ | 最もおすすめ |
| モバイルWi-Fi | ◎ | ○ | 自宅・外出先 | 外出先利用が多いなら |
| ケーブルテレビ回線 | △ | △ | 自宅のみ | 手軽さの点では劣る |
このように、一口に「インターネット回線」と言っても、その種類によって得意なこと・不得意なことがあります。ご自身の使い方を改めて見直し、どのポイントを最も重視するかを明確にすることで、光回線がなくても満足できる最適な選択肢がきっと見つかります。
光回線が工事できない戸建てに関するよくある質問
ここでは、光回線の工事ができない戸建てにお住まいの方が抱えがちな疑問について、Q&A形式で詳しくお答えします。多くの方が不安に感じるポイントを解消し、最適なインターネット環境を見つける手助けになれば幸いです。
ホームルーターの通信速度は光回線と比べて遅いですか
結論から言うと、一般的にホームルーターの通信速度や安定性は、光回線に劣ります。しかし、利用環境や用途によっては、ホームルーターでも十分に快適なインターネット利用が可能です。
両者の違いは、インターネットに接続する仕組みにあります。光回線は物理的な光ファイバーケーブルを使った有線接続のため、外部環境の影響を受けにくく、高速で安定した通信が可能です。一方、ホームルーターは携帯電話と同じモバイル回線の電波を無線で受信するため、基地局との距離や障害物、天候、利用者の集中などによって通信状況が変動します。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
| 項目 | 光回線 | ホームルーター |
|---|---|---|
| 接続方式 | 有線(光ファイバーケーブル) | 無線(5G/4G LTE電波) |
| 最大通信速度(理論値) | 1Gbps~10Gbps | 2Gbps~4Gbps(機種による) |
| 平均実測値(目安) | 下り: 300Mbps~800Mbps 上り: 200Mbps~700Mbps | 下り: 100Mbps~300Mbps 上り: 10Mbps~40Mbps |
| 安定性(Ping値) | 非常に安定(Ping値が低い) | 環境により変動(Ping値は高め) |
| データ容量 | 基本的に無制限 | 実質無制限(短期間の使いすぎで制限の可能性あり) |
| 工事の要否 | 原則として必要 | 不要(コンセントに挿すだけ) |
ドコモの「home 5G」やau・UQモバイルの「WiMAX +5G」など、5G対応のホームルーターは通信速度が大幅に向上しており、高画質な動画視聴やWeb会議、SNSの利用といった日常的な用途であれば、ストレスを感じることは少ないでしょう。ただし、応答速度(Ping値)が重要になるオンラインゲーム(特にFPSや格闘ゲーム)や、大容量データの頻繁なアップロードを行う場合は、光回線に軍配が上がります。
一度工事を断られたらもう光回線は契約できませんか
一度断られたからといって、光回線の導入を完全に諦める必要はありません。工事ができないと判断された「理由」によって、対処法が異なります。重要なのは、なぜ工事ができなかったのか、その具体的な理由を事業者にはっきりと確認することです。
理由別の対処法は以下の通りです。
ケース1:特定の光回線事業者(フレッツ光系など)に断られた
NTTのフレッツ光回線網を利用する「光コラボ」事業者に断られた場合でも、独自の回線網を持つ事業者であれば工事可能なケースがあります。例えば、電力系の「auひかり」や「コミュファ光」、独自網の「NURO光」などに問い合わせてみましょう。利用できるエリアは限られますが、設備状況が異なるため、あっさり契約できる可能性があります。
ケース2:物理的な問題(配管がない、電柱が遠いなど)で断られた
この場合も、別の方法で解決できることがあります。
- 配管がない・詰まっている:壁に直径1cm程度の小さな穴を開けて直接引き込む、エアコンダクトを利用する、壁の表面にケーブルを固定する「露出配線」で行うなど、別の配線方法を提案・相談してみましょう。
- 電柱から家が遠い:近くに新しい電柱を建ててもらう「設備延伸」をNTTに要望することができます。ただし、費用や時間がかかり、必ずしも要望が通るわけではありません。
- 私道を経由する必要がある:土地の所有者に再度交渉します。その際、工事業者にも同席してもらい、工事の安全性や内容を専門的な視点から説明してもらうと、理解を得られやすくなることがあります。
いずれの場合も、最初に断られた事業者とは別の事業者に現地調査を依頼すると、異なる視点から工事方法を提案してくれることもあります。諦めずに複数の事業者に相談することが重要です。
賃貸の戸建てで大家さんに工事を反対された場合はどうすればいいですか
賃貸物件の場合、建物の所有者である大家さんや管理会社の許可なく工事を行うことはできません。もし反対された場合は、感情的にならず、丁寧な交渉を試みることが大切です。
反対される主な理由は「建物に傷をつけたくない」「退去時の原状回復が心配」といった資産価値に関する懸念です。その不安を解消するための交渉ポイントをご紹介します。
交渉のポイント
- 工事内容を具体的に、正確に伝える
「壁に穴を開ける」と聞くと大きな工事を想像しがちです。実際には「直径1cm程度の小さな穴であること」「エアコンの配管ダクトなど既存の穴を利用できる場合が多いこと」「光コンセントは目立たない場所に設置できること」などを、図や写真を見せながら丁寧に説明しましょう。 - 原状回復について約束する
「退去時には責任を持って穴を補修し、設置した機器もすべて撤去します」と明確に伝え、書面で約束することも有効です。大家さんの「退去後」の心配を払拭してあげましょう。 - 大家さん側のメリットを提示する
「今やインターネットは電気やガスと同じインフラです。光回線が導入済みの物件は人気が高く、今後の入居者募集の際に強力なアピールポイントになり、物件の価値向上にも繋がります」といった、大家さん側のメリットを伝えてみるのも一つの手です。
これらの交渉をしても許可が下りない場合は、残念ながら工事はできません。その際は、大家さんに迷惑をかけずに済む工事不要のホームルーターやモバイルWi-Fiを検討しましょう。絶対に無断で工事を行うことは避けてください。契約違反となり、高額な違約金や修繕費を請求されるなど、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
まとめ
戸建てで光回線の工事ができない場合でも、インターネットを諦める必要はありません。電柱との距離や周辺の設備状況、私道の問題などが原因として考えられますが、まずは電力系光回線など別の事業者に確認してみましょう。それでも工事が難しい場合は、手軽なホームルーターや安定したケーブルテレビ回線が有力な代替案です。本記事で解説した選び方を参考に、あなたの利用目的に最適なインターネット環境を見つけてください。