電気設備は、私たちの生活やビジネスを支える重要なインフラですが、長年の使用によって劣化し、トラブルが発生することがあります。特に受変電設備は、建物全体の電力供給を左右するため、その耐用年数や劣化要因を正しく理解し、適切なメンテナンスを行うことが不可欠です。本記事では、電気設備の種類ごとの耐用年数や劣化要因、よくあるトラブルとその対策、さらに受変電設備の適切なメンテナンス方法について詳しく解説します。
電気設備の種類と役割

電気設備は、電力を安全かつ効率的に供給し、建物や施設の機能を維持するために不可欠な設備です。用途に応じてさまざまな種類があり、それぞれ異なる役割を担っています。本章では、主な電気設備の種類とその役割について詳しく解説します。
受変電設備
受変電設備は、高圧で供給される電力を施設内で使用できる電圧に変換し、安定的に分配するための設備です。オフィスビルや工場、商業施設などでは、大容量の電力を効率よく供給するために欠かせない設備となっています。
設備名 | 役割 |
---|---|
変圧器 | 高圧電力を施設内で利用可能な電圧に調整する |
遮断器 | 異常時に電流を遮断し、設備保護を行う |
受電盤 | 電力の受入れと分配を制御する |
配電設備
配電設備は、受変電設備から供給された電力を施設内の各部門や機器に適切に配分する役割を担います。適切な設計とメンテナンスを行わないと、電圧降下や過負荷によるトラブルが発生する可能性があります。
設備名 | 役割 |
---|---|
分電盤 | 電力を建物内の各フロアや設備へ分配する |
電力ケーブル | 受電設備から各設備へ電力を供給する |
電動機制御盤 | モーター設備などの電力供給を制御する |
照明設備
照明設備は、施設内外の適切な照明環境を提供するための設備です。特にオフィスや工場では、省エネルギー性能や照度制御が求められ、適切な管理が必要です。
設備名 | 役割 |
---|---|
LED照明 | 高効率で省エネルギーな照明を提供する |
非常用照明 | 停電時に安全確保のために点灯する |
調光システム | 利用状況に応じた照度調整を行う |
動力設備
動力設備は、生産工場や商業施設で使用される電動機などの動力機器を安定的に稼働させるための設備です。設備の負荷バランスを考慮した設計や定期的な点検が必要です。
設備名 | 役割 |
---|---|
電動機 | 空調設備や生産設備の動力源として使用 |
インバーター | モーターの回転数を調整し、省エネ運転を行う |
ポンプ設備 | 冷却水や油の循環制御を行う |
通信設備
通信設備は、電話やインターネット、監視システムなどの通信機能を管理する設備です。ITインフラの進化に伴い、安定した電源供給と迅速な障害対応が求められます。
設備名 | 役割 |
---|---|
サーバー設備 | 企業や施設のデータ処理とネットワーク管理を行う |
無停電電源装置(UPS) | 停電時のバックアップ電源供給を行いシステムを保護 |
監視カメラシステム | 防犯・安全確保のため、映像記録と監視を行う |
以上のように、電気設備にはさまざまな種類があり、それぞれの設備が安全・安定した電力供給と施設運営を支える重要な役割を果たしています。次章では、受変電設備に焦点を当て、その耐用年数や劣化要因について詳しく解説します。
受変電設備の耐用年数と劣化要因

受変電設備は、電力会社から供給される高圧電力を施設内で適切に使用できる電圧に変換し、安定して供給するための重要な設備です。しかし、長年の使用によって劣化が進むと、故障や事故のリスクが高まります。本章では、受変電設備の主な構成要素ごとの耐用年数と劣化の要因について詳しく解説します。
変圧器の耐用年数と注意点
変圧器は、高圧電力を低圧電力に変換し、建物内の電気設備へ供給するために使用されます。通常、変圧器の耐用年数は20~30年程度とされており、使用環境によってはさらに短くなることもあります。
劣化要因 | 具体的な影響 | 対策 |
---|---|---|
絶縁油の劣化 | 冷却機能の低下、絶縁性能の低下 | 定期的な絶縁油の分析・交換 |
コイルの熱劣化 | 巻線の断線による機能低下 | 温度管理と冷却対策の実施 |
内部短絡 | 変圧器の過負荷や焼損のリスク | 定期点検による異常検出 |
変圧器の異常が発生すると、電圧の変動や電力供給の停止につながる可能性があるため、定期的なメンテナンスと診断が不可欠です。
遮断器の耐用年数と更新時期
遮断器は、電力系統に異常が発生した際に、電流を遮断して電気的な損傷を防ぐ役割を担っています。一般的に、遮断器の耐用年数は15~25年とされており、頻繁に開閉を行う場合はさらに早い交換が必要になります。
種類 | 主な劣化の要因 | 更新の目安 |
---|---|---|
真空遮断器 | 内部の真空度低下、接点の摩耗 | 20~25年、もしくは動作回数が耐久限界に達した時 |
気中遮断器 | アーク消弧能力の低下、接点の酸化 | 15~20年 |
油遮断器 | 絶縁油の劣化、スラッジの発生 | 15年程度(早めの交換推奨) |
遮断器はトラブル時に正常に動作しなければ事故につながるため、定期的な点検と耐久テストを実施し、交換時期を見極めることが重要です。
受電盤・分電盤の耐用年数と劣化症状
受電盤と分電盤は、変圧された電力を必要な機器やエリアごとに分配する設備です。一般的に耐用年数は20~25年程度とされていますが、湿気やホコリなどの環境要因で劣化が早まることがあります。
劣化症状 | 影響 | 対策 |
---|---|---|
端子の緩み | 接触不良や発熱による故障 | 定期的な締め付けの点検 |
腐食やサビ | 通電不良や短絡の原因 | 湿気対策と防錆処理の実施 |
ブレーカーの誤動作 | 突発的な遮断や電源喪失 | ブレーカーの適切な交換 |
特に分電盤は、末端に接続される機器の増設などによって負荷が変動するため、増設・変更時には適切な容量確認も必要です。
電力ケーブルの劣化と交換目安
電力ケーブルは、受変電設備の各機器をつなぎ、電力を供給する重要な役割を持っています。耐用年数はおおよそ30~40年とされていますが、設置環境によって寿命が大きく左右されます。
劣化要因 | 主な影響 | 対策 |
---|---|---|
絶縁体の劣化 | 絶縁抵抗低下による漏電リスク | 定期的な絶縁試験の実施 |
外部損傷 | ケーブル断線やショート事故 | ケーブルルートの適切な管理 |
温度・湿度の影響 | 膨張・収縮による物理的劣化 | 耐熱・耐湿対策の強化 |
劣化状態を正しく判断するためには、定期的なケーブルの診断や交換計画の策定が不可欠です。
電気設備のトラブル事例と対策

絶縁不良による漏電事故
電気設備の老朽化や損傷により絶縁性能が低下すると、電流が本来流れるべき経路以外に流れてしまい、漏電事故の原因となります。漏電は感電や火災を引き起こすリスクがあり、早期の対策が求められます。
漏電が発生する主な原因
原因 | 具体的な例 |
---|---|
配線の劣化 | 絶縁被覆の亀裂や剥がれ |
水分の侵入 | 結露や配線の水濡れ |
過負荷 | 過電流による配線の発熱と劣化 |
害獣被害 | ネズミなどによる配線の噛みつき |
対策方法
- 定期的な絶縁抵抗測定を実施し、劣化の早期発見を行う。
- 防水対策を講じ、屋外配線や湿気の多い場所の設備を保護する。
- 害獣対策として配線カバーや防鼠処理を施す。
- 適切な過電流保護装置(ブレーカーや漏電遮断器)を設置し、異常電流を遮断する。
過負荷によるブレーカーの頻繁な遮断
電気設備の使用において、定格容量を超える負荷がかかると、安全装置としてブレーカーが作動し電気が遮断されます。これは設備の故障や火災を防ぐ重要な機能ですが、頻繁に遮断される場合は改善が必要です。
過負荷の主な原因
原因 | 具体的な事例 |
---|---|
一度に多くの機器を使用 | オフィスのコンセントで過剰な機器を接続 |
設備の劣化 | 古くなったモーターや照明器具の電流値増大 |
電圧の供給不足 | 電圧降下により電流が増大 |
対策方法
- 回路ごとの負荷容量を確認し、再配分を検討する。
- 消費電力が大きい機器は時間をずらして使用する。
- ブレーカーや配線を適切な容量のものへ交換する。
劣化した変圧器による電圧異常
受変電設備における変圧器は、経年劣化により巻線の絶縁低下や内部損傷が発生し、電圧の不安定化が引き起こされます。これにより、接続機器の動作異常や電源障害のリスクが高まります。
変圧器の劣化症状
症状 | 影響 |
---|---|
電圧の急激な変動 | 精密機器の誤作動 |
異音の発生 | 巻線や鉄心の緩み |
温度の異常上昇 | 冷却機能の低下 |
対策方法
- 定期的な変圧器の負荷測定と劣化診断を実施する。
- 冷却装置の動作確認を行い、異常があれば修理または交換する。
- 異常な電圧変動が確認された場合は直ちに電源を切り、専門業者に点検を依頼する。
雷サージによる機器の故障
落雷により雷サージ(異常高電圧)が発生すると、電気設備や電子機器が損傷する恐れがあります。特に高感度な設備においては、一瞬の過電圧でも動作不良や破損につながる可能性があります。
雷サージの影響
影響 | 具体的な例 |
---|---|
通信回線の故障 | ネットワーク機器の誤動作 |
電源装置の破損 | UPSやコンバータの損傷 |
システム障害 | データセンターのダウン |
対策方法
- 避雷器を設置し、建物全体を雷サージから保護する。
- サージプロテクタをコンセントや情報通信機器に導入する。
- 雷の多い地域では、落雷時に精密機器の電源を事前に切る運用を行う。
受変電設備のメンテナンス方法

定期点検の重要性と実施頻度
受変電設備は安定した電力供給を維持するために定期点検が必要です。設備の経年劣化や外部環境の影響によるトラブルを未然に防ぐため、法律や業界基準に基づいた保守点検を計画的に実施することが求められます。
一般的に、定期点検の頻度は以下のように定められています。
点検項目 | 実施頻度 | 主な点検内容 |
---|---|---|
目視点検 | 月1回 | 外観異常、配線の劣化、接続部の緩みの確認 |
部分放電点検 | 半年〜1年に1回 | 変圧器・遮断器の異常放電の検出 |
精密点検 | 3年〜5年に1回 | 絶縁抵抗測定、油中ガス分析、耐圧試験 |
これらの点検を適切に行うことで設備の耐用年数を最大限に伸ばし、突発的なトラブルを防ぐことができます。
耐用年数を延ばすための予防保全
設備の寿命を延ばすためには予防保全の実施が不可欠です。単なる定期点検にとどまらず、劣化の兆候を事前に察知し、早めの対応を行うことが重要です。
異常温度の監視
受変電設備の異常発熱は、内部の劣化を示すサインです。温度監視を行うことで、絶縁劣化や接続不良を早期に発見できます。サーモグラフィーカメラを利用した熱画像診断が有効です。
絶縁診断
絶縁性能の劣化は漏電や短絡事故の原因となります。定期的な絶縁抵抗測定や耐圧試験を実施しましょう。変圧器においては油中ガス分析を行い、内部異常の兆候を早期に検出できます。
異常を発見した際の対応手順
点検中に異常が発見された場合迅速かつ適切な対応が求められます。トラブルの発見から復旧までの基本的な流れは以下の通りです。
- 異常個所の特定と詳細確認(温度上昇、絶縁不良、異音など)
- 一次対応(緊急停止の必要性判断、安全確保の実施)
- 原因の追究(配線・機器の測定、異常部品の特定)
- 適切な対策の実施(部品交換、絶縁処理、試運転確認)
- 改善策の記録(再発防止のためのデータ保存、対策検討)
これらの手順を確実に行い、より安全な設備運用を心がけましょう。
専門業者へのメンテナンス依頼のポイント
受変電設備のメンテナンスは専門知識が不可欠であり、資格を持つ専門業者への依頼が推奨されます。業者選定の際には以下のポイントを確認しましょう。
実績と資格の確認
受変電設備の保守点検には「電気主任技術者」や「電気工事士」の資格が必要です。また、過去の実績や対応可能な設備の種類も確認し、安全性の高い業者を選ぶことが重要です。
対応のスピードとサポート体制
突発的なトラブル発生時に迅速な対応が可能かを事前に確認しておきましょう。24時間対応のメンテナンス契約がある業者なら、夜間や休日の不測の事態にも対応しやすくなります。
メンテナンス契約の内容
業者によって保守契約の内容が異なるため、定期点検の頻度や緊急時の対応費用などを十分に比較検討することも必要です。
適切なメンテナンスを行うことで受変電設備の信頼性を高め、長期的なコスト削減と安全性の向上が期待できます。
まとめ

電気設備は受変電設備をはじめとする多様な種類があり、各設備には耐用年数が存在します。特に変圧器や遮断器などの劣化はトラブルの原因となり、適切なメンテナンスが不可欠です。
また、絶縁不良や過負荷などのトラブルは、適切な点検や予防保全によって防ぐことが可能です。定期点検を実施し、異常を早期発見することで、安全かつ安定した運用を実現できます。
受変電設備のメンテナンスは、専門業者の知識と技術を活用することでより確実になります。計画的な保守管理を行い、予期せぬトラブルを防ぎましょう。