コスト3割減の実績!中小企業が今すぐやるべき電気代の節約方法を徹底解説

高騰し続ける電気代が経営を圧迫していませんか?本記事では、中小企業が今すぐ実践できる電気代の節約方法を「運用改善」「契約見直し」「設備投資」の3つの視点から網羅的に解説します。この記事を読めば、新電力の選び方から補助金の活用法まで、貴社に最適なコスト削減策が分かり、経費の大幅な圧縮が実現可能です。電気代の節約は、正しい知識と手順で取り組めば必ず成功します。

なぜ今中小企業に電気代の節約が求められるのか

「最近、電気代の請求額が急に増えた」と感じている経営者や担当者の方は少なくないでしょう。それもそのはず、昨今の社会情勢を背景に電気料金はかつてないほど高騰し、多くの中小企業の経営を圧迫しています。もはや電気代の節約は、単なる経費削減活動ではなく、企業の存続と成長に不可欠な経営戦略そのものとなっています。この章では、なぜ今、中小企業にとって電気代の節約がこれほどまでに重要なのか、その理由と経営に与えるインパクトを深掘りしていきます。

電気料金が高騰し続ける理由

電気料金の上昇は、一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合って引き起こされています。自社の努力だけではコントロールが難しい外部要因を正しく理解することが、効果的な対策を講じる第一歩となります。

主な高騰理由は以下の通りです。

  1. 燃料価格の変動と円安の影響
    日本の電力の多くは、原油や液化天然ガス(LNG)、石炭を燃料とする火力発電に依存しています。これらの燃料はほとんどを海外からの輸入に頼っているため、国際的なエネルギー市場の価格変動や為替レート(円安)の影響を直接受けます。特に、国際情勢の不安定化は燃料価格を急騰させ、それが「燃料費調整額」として毎月の電気料金に上乗せされるため、企業努力とは無関係に電気代が大きく変動する-mark>のです。
  2. 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の負担増
    太陽光や風力といった再生可能エネルギーを普及させるため、「固定価格買取制度(FIT制度)」が導入されています。これは、電力会社が再エネで発電された電気を国が定めた価格で買い取る制度であり、その買取費用の一部は「再エネ賦課金」として、電気を使用するすべての国民や企業が負担しています。再エネの導入量が増えるにつれて、この賦課金の単価も年々上昇傾向にあり、電気の使用量に比例して負担が重くなっています。
  3. 送配電網の維持コスト(託送料金)の上昇懸念
    私たちが使う電気は、発電所から送電線や配電線といったネットワーク(送配電網)を通って届けられます。この送配電網の利用料金が「託送料金」として電気料金に含まれています。設備の老朽化対策や、再生可能エネルギーの導入拡大に対応するための増強工事など、送配電網を維持・更新するための投資費用が今後、託送料金に反映され、さらなる料金上昇圧力となることが懸念されています。

これらの要因が、中小企業の電気代を押し上げる構造的な問題となっています。

要因概要中小企業への影響
燃料費調整額火力発電の燃料(原油、LNG、石炭)の価格変動を電気料金に反映させる仕組み。国際情勢や為替レートに左右され、予測が困難。急激なコスト増につながりやすい。
再エネ賦課金再生可能エネルギーの買取費用を、電気の利用者が負担するもの。毎年単価が見直され、上昇傾向が続いている。電気使用量が多いほど負担が増加する。
託送料金送配電網の利用料金。設備の維持・更新費用などが含まれる。今後、老朽化対策や次世代電力網への投資により、段階的に上昇する可能性がある。

電気代の節約が経営改善に直結するインパクト

厳しい経営環境の中、電気代の節約に取り組むことは、コスト削減以上の大きな経営上のメリットをもたらします。それは、企業の利益体質を強化し、持続的な成長を支える強固な基盤を築くことにつながります。

  • 直接的な利益の創出
    電気代の削減は、売上を新たに生み出すことと同等の価値を持ちます。例えば、経常利益率が5%の企業が年間20万円の電気代を節約できたとします。これは、単純に経常利益が20万円増加することを意味し、売上でいえば400万円を新たに稼ぎ出すのと同じインパクトがあります。コスト削減によって生み出された利益は、そのまま企業の内部留保や新たな投資原資となります。
  • 資金繰り(キャッシュフロー)の改善
    電気代は毎月必ず発生する固定費です。この固定費を削減できれば、月々の支出が減り、手元に残る現金が増加します。キャッシュフローに余裕が生まれれば、急な支払いや予期せぬ事態にも対応しやすくなり、経営の安定性が格段に向上します。安定した資金繰りは、金融機関からの信用力向上にもつながります。
  • 価格競争力の維持・強化
    原材料費や人件費など、あらゆるコストが上昇する中で、製品やサービスの価格への転嫁が難しい中小企業は少なくありません。そのような状況下で電気代という管理可能なコストを削減できれば、値上げを抑制しつつも利益を確保することが可能となり、競合他社に対する価格優位性を保つことができます。
  • 企業価値とブランドイメージの向上
    省エネへの取り組みは、単なるコスト削減活動にとどまりません。環境負荷の低減に貢献する姿勢は、SDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素社会の実現に向けた企業の社会的責任(CSR)を果たすことにつながります。環境配慮型経営を実践している企業として、取引先、金融機関、そして顧客からの信頼を獲得し、企業価値を高めることができます。また、採用活動においても、環境意識の高い優秀な人材を惹きつける魅力的な要素となるでしょう。

【明日からできる】中小企業の電気代節約術 運用改善編

電気代の節約と聞くと、大規模な設備投資が必要だと考えがちですが、そんなことはありません。日々の業務における「運用改善」だけでも、電気代は着実に削減できます。ここでは、明日からでもすぐに着手でき、コストをかけずに実践可能な節約術を具体的に解説します。全社で取り組むことで、その効果は決して小さなものではなくなります。

空調設備の設定温度と運用ルールを見直す

オフィスや店舗の電気代で最も大きな割合を占めるのが空調設備です。特に中小企業では、フロア全体を一括で管理しているケースも多く、少しの工夫が大きな節約につながります。まずは設定温度と運用方法を見直しましょう。

環境省が推奨する室温(夏:28℃、冬:20℃)を目安に、社内での快適性を考慮しつつ、統一した運用ルールを設けることが重要です。個人の判断で温度を頻繁に変更すると、コンプレッサーの稼働が増え、かえって電力を消費してしまいます。

具体的な運用ルールの例を以下に示します。

施策内容具体的なアクションポイント
タイマー機能の活用始業15分前にON、終業15分前にOFFになるようタイマーを設定する。人のいない時間の無駄な稼働をなくします。
サーキュレーターの併用エアコンの風向きを水平にし、サーキュレーターで空気を循環させる。室内の温度ムラがなくなり、設定温度を1〜2℃緩和しても快適性を保てます。
フィルターの定期清掃月に1〜2回、フィルターのホコリを清掃する。フィルターが目詰まりすると冷暖房効率が大幅に低下します。清掃だけで消費電力を5〜10%削減できるケースもあります。
室外機周辺の環境整備室外機の吹出口の前に物を置かず、風通しを良くする。夏場は日よけを設置する。室外機の放熱効率が向上し、無駄な電力消費を抑えます。
ブラインドやカーテンの活用夏は日中の日差しを遮り、冬は閉めて室内の熱が逃げるのを防ぐ。外気温の影響を軽減し、空調の負荷を下げます。

照明のこまめな消灯と間引きを徹底する

空調の次に電力消費が大きいのが照明です。特に蛍光灯を多く使用しているオフィスでは、照明にかかる電気代は無視できません。ここでも重要なのは、「必要な場所を、必要な時に、必要な明るさで」という基本方針を徹底することです。

まずは、全従業員が「こまめな消灯」を習慣化するためのルール作りから始めましょう。

  • 昼休みや休憩時間は、執務エリアの照明を消灯する。
  • 会議室や応接室、倉庫などは、利用後に必ず消灯する「最後退室者消灯」を徹底する。
  • 窓際など、日中の自然光で十分な明るさが確保できるエリアは、時間帯によって消灯する。

さらに一歩進んだ取り組みが「間引き点灯」です。これは、業務に支障のない範囲で、一部の照明器具を取り外したり、スイッチをオフにしたりする方法です。例えば、廊下や人の往来が少ないエリアの照明を半分にするだけでも、継続すれば大きな節約効果が生まれます。ただし、安全性を損なわないよう、照度計で明るさを確認しながら慎重に行うことが大切です。特に階段や作業スペースでの間引きは避けるべきです。

PCや複合機などOA機器の省エネ設定

オフィスに欠かせないパソコン(PC)や複合機、プリンターなどのOA機器。一台あたりの消費電力は小さくても、その台数が集まれば、企業の総消費電力のかなりの部分を占めます。特に見落とされがちなのが「待機電力」です。

多くのOA機器には、電力消費を抑えるための「省エネモード」や「スリープモード」が搭載されています。これらの設定を全社で統一し、積極的に活用することで、無駄な電力消費を大幅にカットできます。

情報システム部門などが主導し、以下のような設定を全社のPCに適用することを推奨します。

  • PC本体のスリープ設定:10〜15分以上操作がない場合に、自動でスリープモードに移行するよう設定する。
  • モニターの電源オフ設定:5分以上操作がない場合に、モニターの電源が自動で切れるように設定する。
  • 複合機・プリンターの省エネモード:印刷後、短時間で自動的に省エネモードに移行するよう設定を見直す。

また、終業時や休日はPCのシャットダウンを徹底するだけでなく、電源タップのスイッチを切るなどして、待機電力を完全に遮断する習慣をつけることも効果的です。

従業員の省エネ意識を高めるための取り組み

ここまで紹介した運用改善策は、どれも従業員一人ひとりの協力なくしては成り立ちません。節電を成功させる最も重要な鍵は、経営層から従業員まで、全員が同じ意識を共有することです。

そのためには、節電を「やらされ仕事」ではなく、経営改善に貢献する全社一丸の「プロジェクト」と位置づけることが不可欠です。以下のような取り組みを通じて、従業員の省エネ意識を醸成していきましょう。

  • 現状の共有と目標設定:毎月の電気使用量や料金、前年同月比などをグラフにして社内に掲示し、「見える化」します。「電気代を前月比5%削減する」といった具体的な目標を設定し、共有することで、当事者意識が芽生えます。
  • 省エネ担当者の任命:部署ごとに「省エネリーダー」を任命し、消灯の呼びかけや省エネ設定の確認などを担当してもらいます。役割を与えることで、主体的な行動を促します。
  • 啓発活動の実施:「使わない電気は消しましょう」といったステッカーをスイッチ周りに貼ったり、省エネに関する情報を社内報で定期的に発信したりするのも有効です。
  • インセンティブ制度の導入:削減目標を達成した部署を表彰するなど、努力が報われる仕組みを作ることで、モチベーションの維持・向上につながります。

こうした地道な取り組みの積み重ねが、節電文化を社内に根付かせ、継続的なコスト削減を実現します。

【効果大】契約内容の見直しで電気代を大幅に節約

日々の運用改善と並行して、あるいはそれ以上に取り組むべきなのが「電気契約そのものの見直し」です。運用改善や設備投資とは異なり、初期費用をほとんどかけずに、電気代という固定費を大幅に削減できる可能性を秘めています。電力会社や料金プランを変更しても、送配電網は従来と同じものを使用するため、電気の品質が低下したり、停電が増えたりする心配は一切ありません。ここでは、企業の電気代削減に直結する3つの契約見直し術を具体的に解説します。

電力会社の切り替え(新電力)を検討する

2016年4月の電力小売全面自由化により、すべての企業が従来の地域電力会社(東京電力や関西電力など)だけでなく、「新電力」と呼ばれる新しい電力会社から電気を購入できるようになりました。新電力は、自社で発電所を持つ会社や、他社から電気を仕入れて販売する会社など様々ですが、既存の送配電ネットワークを利用するため、供給の安定性は従来と変わりません。競争原理が働くことで、各社が独自の料金プランやサービスを提供しており、自社に合った会社を選ぶことで電気料金を大きく引き下げることが可能です。

新電力へ切り替えるメリット・デメリット

新電力への切り替えは多くのメリットがありますが、事前に知っておくべきデメリットも存在します。両方を正しく理解し、総合的に判断することが重要です。

項目メリットデメリット
料金独自の料金設定により、電気代が安くなる可能性が高い。ガスや通信などとのセット割引が適用される場合がある。市場連動型プランの場合、電力市場価格の急騰で料金が大幅に上がるリスクがある。燃料費調整額に上限がない場合、燃料価格高騰の影響を直接受ける。
プラン・サービス時間帯別、休日割引など、企業の電力使用パターンに合わせた多様なプランから選択できる。再生可能エネルギー由来の電力プランなど、環境価値の高い電力を選択できる。契約期間に縛りがあったり、期間内の解約で違約金が発生したりする場合がある。
安定性・その他送配電網は変わらないため、電力の品質や安定性は従来通り。切り替え手続きは簡単で、原則工事も不要。新電力会社の倒産・事業撤退のリスクがある。(ただし、すぐに電気が止まることはなく、セーフティネットが用意されている)

中小企業向け新電力の選び方と注意点

数多くの新電力の中から、自社に最適な一社を見つけるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。料金の安さだけで判断せず、総合的な視点で比較検討しましょう。

1. 料金プランとシミュレーションの実施
まずは、自社の電力使用状況を正確に把握することが第一歩です。検針票を用意し、現在の契約内容(契約電力、電力使用量)を確認しましょう。多くの新電力は公式サイトで料金シミュレーションを提供しています。必ず複数社のシミュレーションを行い、年間の削減額を比較検討することが重要です。特に、工場の稼働時間やオフィスの営業時間に合わせた時間帯別プランなど、自社の事業スタイルにマッチするプランを提供しているかを確認してください。

2. 燃料費調整額の取り扱いを確認
電気料金の変動要因となる「燃料費調整額」の仕組みは、新電力によって異なります。従来の地域電力会社のように上限を設けている会社もあれば、上限を設けず市場価格をそのまま反映する会社もあります。近年の燃料価格の不安定さを考慮すると、この項目は非常に重要です。契約前に必ず確認しましょう。

3. 契約期間と違約金の有無
契約期間は1年更新が一般的ですが、中には2年や3年の長期契約を条件に割引率を高めているプランもあります。ただし、契約期間内に解約した場合に違約金が発生するかどうか、発生する場合はその金額がいくらになるのかを事前に必ず確認してください。

4. 企業の信頼性とサポート体制
企業の規模や電力事業の実績、資本構成などを確認し、安定して電力供給を続けられる会社かを見極めることも大切です。また、契約後の問い合わせやトラブル発生時に、迅速かつ丁寧に対応してくれるサポート体制が整っているかも重要な選定基準となります。

自社に最適な電気料金プランを選択する

電力会社を切り替えるだけでなく、現在契約している電力会社のままで料金プランを見直すことでも、電気代を節約できる場合があります。特に、創業時から一度もプランを見直したことがないという企業は、より有利なプランに変更できる可能性が高いでしょう。

例えば、多くの電力会社では、夜間や休日の電力単価が割安になるプランを提供しています。24時間稼働の工場や、夜間に営業する飲食店・店舗などは、こうしたプランに変更することで大きなメリットを得られます。自社の電力使用のピークがいつなのかをスマートメーターのデータなどで分析し、最もコストを抑えられるプランを選択することが肝心です。

また、近年ではSDGsや脱炭素経営への関心の高まりから、再生可能エネルギー由来の電力を供給する「再エネプラン」も増えています。料金は割高になる傾向がありますが、環境への配慮をアピールでき、企業価値の向上や取引先からの信頼獲得に繋がるという経営上のメリットも期待できます。

基本料金を削減する契約電力(デマンド値)の管理

事務所や工場などで「高圧電力」を契約している中小企業にとって、電気代削減の最大の鍵となるのが「基本料金」の見直しです。高圧電力の基本料金は、過去1年間の最大需要電力(デマンド値)によって決定されます。

デマンド値とは、30分ごとの電力使用量を計測し、その中で最も大きい数値のことです。そして、一度記録されたデマンド値が、その後1年間の契約電力となり、毎月の基本料金を左右するという非常に重要な仕組みになっています。つまり、たった30分間だけ電力使用量が突出してしまった場合でも、その高い基本料金を1年間ずっと支払い続けなければならないのです。

このデマンド値を低く抑える(=契約電力を下げる)ことが、基本料金の削減に直結します。具体的な対策としては、電力使用量が最も多くなるピーク時間帯を特定し、その時間帯の電力使用を抑制する「ピークカット」が有効です。例えば、複数の大型機械を同時に稼働させない、空調の温度設定を一時的に調整する、といった工夫でデマンド値を抑えることができます。まずは毎月の請求書で自社のデマンド値を確認し、どの時間帯に電力を多く使っているかを把握することから始めましょう。

【長期的視点】設備投資による抜本的な電気代節約

日々の運用改善による節電も重要ですが、効果には限界があります。電気代を抜本的に、かつ継続的に削減するためには、省エネ性能の高い設備への投資が最も効果的です。初期費用はかかりますが、長期的に見れば電気代の削減額が投資額を上回り、企業の収益性を大きく改善します。ここでは、特に費用対効果の高い代表的な設備投資について解説します。

高効率空調システムへの更新

オフィスや工場、店舗などで消費電力の大きな割合を占めるのが空調設備です。特に、10年以上前に設置された業務用エアコンは、現在の最新機種と比較して著しくエネルギー効率が低い場合があります。最新の高効率空調システムへ更新することで、消費電力を劇的に削減できます。

例えば、省エネ性能を示す指標であるAPF(通年エネルギー消費効率)が高いモデルを選ぶことで、古い機種に比べて消費電力を30%~50%以上削減できるケースも少なくありません。消費電力が減るだけでなく、快適性の向上やきめ細やかな温度管理による生産性アップも期待できます。設備更新は、電気代削減と労働環境改善を同時に実現する賢明な投資と言えるでしょう。

工場やオフィスの照明をLEDへ切り替える

従来の蛍光灯や水銀灯をLED照明に切り替えることは、比較的導入しやすく効果を実感しやすい設備投資です。特に、長時間照明を点灯させる工場や倉庫、オフィスビルでは絶大な効果を発揮します。

LED照明のメリットは消費電力が少ない点だけではありません。長寿命であるため、ランプ交換の手間やコストを大幅に削減できることも大きな利点です。特に高天井に設置された水銀灯などの交換は、高所作業車が必要になるなど多大なコストと手間がかかるため、LED化による恩恵は計り知れません。以下の表で、従来照明との違いをご確認ください。

項目LED照明蛍光灯水銀灯
消費電力低い(蛍光灯の約1/2)普通高い
寿命非常に長い(約40,000時間~)普通(約12,000時間)短い(約12,000時間)
交換の手間・コスト少ない普通多い
環境負荷水銀を含まず環境に優しい水銀を含む水銀を含む

初期投資は必要ですが、電気代とメンテナンスコストの削減により、多くの企業で数年以内の投資回収が見込めます。

デマンドコントロールシステム(デマコン)の導入

高圧電力(契約電力50kW以上)を契約している中小企業にとって、基本料金の削減に直結するのが「デマンドコントロールシステム(デマコン)」の導入です。高圧電力の基本料金は、過去1年間で最も電力を使用した30分間の平均電力「最大デマンド値(ピーク電力)」によって決定されます。

デマコンは、この最大デマンド値が設定した目標値を超えないように、電力使用量を常時監視し、ピークになりそうなタイミングで空調などの出力を自動的に一時制御するシステムです。これにより、従業員が意識することなく、無理のない範囲でピーク電力を抑制し、翌年1年間の電気の基本料金を効果的に引き下げることができます。電力使用状況の「見える化」機能も搭載されている製品が多く、社内の省エネ意識向上にも貢献します。

自家消費型太陽光発電という選択肢

工場の屋根や遊休地などを活用して太陽光発電システムを設置し、発電した電気を自社で消費する「自家消費型太陽光発電」も、有力な選択肢として注目されています。この方法の最大のメリットは、電力会社から購入する電力量そのものを削減できる点です。

特に、電気料金に含まれる「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」や、昨今の電気代高騰の主因である「燃料費調整額」は、電力会社から電気を購入しなければ発生しません。つまり、自家消費型太陽光発電は、将来の電気料金高騰リスクに対する強力なヘッジ手段となるのです。さらに、災害などによる停電時には非常用電源として活用できるため、BCP(事業継続計画)対策としても非常に有効です。また、「脱炭素経営」や「SDGs」への取り組みとして、企業のイメージアップにも繋がります。

中小企業が活用すべき省エネ関連の補助金・助成金制度

電気代を抜本的に削減するためには、省エネ性能の高い設備への更新が極めて効果的です。しかし、中小企業にとって設備投資は大きな経営判断となります。そこで活用したいのが、国や地方自治体が提供する補助金・助成金制度です。これらの制度を賢く利用すれば、初期投資の負担を大幅に軽減し、より早く投資回収することが可能になります。ここでは、中小企業が活用できる代表的な制度と、その探し方について詳しく解説します。

国が主導する代表的な補助金

国が主導する補助金は、予算規模が大きく、全国の中小企業を対象としているため、まず最初に確認すべき選択肢です。省エネルギー対策に関する補助金は、主に経済産業省や環境省が管轄しており、年度ごとに公募が行われます。代表的なものをいくつかご紹介しますが、制度の名称や内容は毎年変更される可能性があるため、必ず資源エネルギー庁や各補助金の執行団体の公式サイトで最新情報を確認してください。

先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金

本補助金は、先進的で高い省エネ効果を持つ設備やシステムの導入を支援するものです。中小企業にとって非常に人気が高く、活用しやすい制度の一つです。指定された先進設備を導入する場合や、オーダーメイド型の省エネ設備を導入する場合など、複数の事業区分があります。

項目内容
対象設備高効率空調、業務用給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、LED照明器具など
補助率中小企業の場合、補助対象経費の1/2〜2/3以内など(事業区分により異なる)
補助上限額事業区分や申請内容により数億円規模まで設定される場合がある
ポイント省エネ効果の高さや投資回収年数などが審査の重要なポイントとなります。エネルギー管理支援サービス(エネマネ事業者)と連携することで、より採択されやすくなる場合があります。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金

この補助金は、工場の生産プロセス改善や、電化・燃料転換を伴う大規模な省エネ投資を支援するものです。複数の事業者が連携して取り組む省エネ事業も対象となるなど、より広範で大規模な取り組みが想定されています。

これらの国の補助金は、公募期間が短期間に設定されていることが多いため、次年度の公募開始を見越して、あらかじめ導入したい設備の検討や見積もりの取得を進めておくことが採択への鍵となります。

地方自治体独自の助成金制度の探し方

国の補助金と合わせて検討したいのが、都道府県や市区町村が独自に実施している助成金制度です。これらの制度は、国のものに比べて予算規模は小さいものの、より地域の実情に合っており、小規模な設備投資でも対象になりやすいというメリットがあります。

自社が活用できる制度を見つけるためには、以下の方法が有効です。

1. 自社の所在地の自治体ウェブサイトで検索する

最も確実な方法は、事業所が所在する都道府県や市区町村の公式ウェブサイトを確認することです。「(自治体名) 中小企業 省エネ 補助金」や「(自治体名) LED 助成金」といったキーワードで検索すると、関連情報が見つかりやすいでしょう。環境課や商工課といった部署が担当していることが多いです。

2. 中小企業支援機関に相談する

各地の商工会議所や商工会、よろず支援拠点といった公的な中小企業支援機関も、補助金に関する情報提供や相談に応じてくれます。申請書類の作成支援を受けられる場合もあるため、積極的に活用することをおすすめします。

3. 補助金検索ポータルサイトを利用する

中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」などのポータルサイトでは、全国の補助金・助成金情報を検索できます。地域や目的別に絞り込んで探せるため、効率的に情報収集が可能です。

地方自治体の制度は、国の補助金と併用できる場合とできない場合があります。申請を検討する際には、それぞれの制度の要綱をよく読み、併用の可否について必ず担当窓口に確認するようにしてください。これらの制度をフル活用し、賢く電気代削減に取り組みましょう。

電気代の節約に成功した中小企業の事例紹介

電気代の節約は、もはや大企業だけの課題ではありません。ここでは、実際に電気代の削減に成功した中小企業の具体的な事例を2つご紹介します。自社の状況と照らし合わせながら、次の一手を考えるヒントにしてください。

事例1 契約見直しだけで年間コストを20%削減した製造業A社

最初にご紹介するのは、設備投資を一切行わず、電力会社の契約見直しだけで大幅なコスト削減を実現した従業員50名規模の製造業のケースです。

A社では長年、地域の大手電力会社と契約を続けていましたが、年々上昇する電気料金が製造コストを圧迫し、経営課題となっていました。しかし、社内に電力の専門家がおらず、どこから手をつければ良いか分からない状態でした。

そこで、まずは複数の新電力会社から見積もりを取得することから始めました。各社の料金プランを比較検討する中で、自社の工場の電力使用状況(日中の稼働が多く、夜間は少ない)を詳細に分析。その結果、時間帯別の料金単価ではなく、一日を通して単価が固定されているシンプルなプランが最もコストメリットを生むことが判明しました。

最終的に、最も条件の良い新電力会社へ切り替えを実施。煩雑な手続きはほとんどなく、スマートメーターへの交換も電力会社の負担で行われ、現場の業務に支障をきたすことは一切ありませんでした。結果として、年間約300万円かかっていた電気代を約240万円にまで圧縮し、20%ものコスト削減に成功。浮いた経費を新たな人材採用の原資に充てることができました。

項目内容
業種金属部品製造業
従業員数約50名
抱えていた課題・電気料金の高騰による利益率の圧迫
・料金プランの見直し方が分からない
実施した施策・複数の新電力会社からの相見積もり
・電力使用状況の分析と最適な料金プランの選定
・電力会社の切り替え
削減効果年間電気料金を約20%削減(年間約60万円のコストカット)

事例2 設備更新と補助金活用で投資額を3年で回収した食品工場B社

次にご紹介するのは、老朽化した設備の更新という大きな投資判断に踏み切り、省エネ補助金を効果的に活用することで、大きな成果を上げた食品工場の事例です。

24時間稼働するラインもあるB社では、特に夏場の冷凍・冷蔵設備と空調の電力消費が膨大で、毎月のデマンド値(最大需要電力)が基本料金を高止まりさせる大きな要因でした。旧式の水銀灯を使っていた工場内の照明も、消費電力の多さと交換の手間が問題となっていました。

B社はまず、専門家による省エネルギー診断を受け、費用対効果の高い改善点を洗い出しました。その結果、優先順位の高い施策として「工場照明の全面LED化」と「高効率型空調システムへの更新」を決定。多額の初期投資が必要でしたが、経済産業省が管轄する「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の存在を知り、申請。これが採択されたことで、設備投資額の約3分の1を補助金で賄うことができました。

設備更新後、電力使用量は劇的に減少。特に、ピーク時の消費電力を抑えることに成功し、基本料金を決定するデマンド値を大幅に引き下げることができました。さらに、LED化によって工場内が明るくなり、従業員の作業効率向上や安全確保にも繋がるという副次的な効果も得られました。補助金の活用により初期投資を抑えられたことで、当初5年以上かかると試算していた投資回収期間を3年に短縮できる見込みです。

項目内容
業種冷凍食品製造業
従業員数約120名
抱えていた課題・老朽化した設備による過大な電力消費
・夏場のデマンド値上昇による基本料金の高騰
・設備更新の初期投資負担
実施した施策・省エネルギー診断の実施
・工場照明の全面LED化
・高効率型空調システムへの更新
・省エネ関連補助金の活用
削減効果年間電力使用量を約30%削減、投資回収期間を3年に短縮

まとめ

電気料金の高騰が続く中、中小企業にとって電気代の節約は喫緊の経営課題です。本記事では「運用改善」「契約見直し」「設備投資」の3つの視点から具体的な方法を解説しました。まずは空調設定の見直しなど明日からできる運用改善に着手し、同時に電力会社の切り替えを検討しましょう。長期的な視点では、補助金を活用した省エネ設備への投資も有効です。これらの取り組みは、コスト削減だけでなく、企業の競争力強化にも繋がります。