会社の経費を圧迫し続ける電気代の高騰にお悩みの経営者・総務担当者様へ。本記事を読めば、大口需要家が実践すべき電力削減の具体的な方法がわかります。新電力への切り替えから、デマンドコントロールや省エネ設備の導入、専門会社の選び方まで、明日から取り組める節約術を網羅的に解説。結論、電力削減は自社の状況に合わせて複数の施策を組み合わせることが、コストカット成功への最短ルートです。
なぜ会社の電気代は高騰するのか 大口電力の現状と課題
「最近、会社の電気代が異常に高い…」多くの経営者や総務担当者様が、請求書を見るたびに頭を悩ませているのではないでしょうか。それもそのはず、昨今の社会情勢を背景に、特に工場や大規模な商業施設、オフィスビルなどの大口需要家(高圧・特別高圧電力契約者)にとって、電気代の高騰は経営を直撃する深刻な問題となっています。しかし、なぜこれほどまでに電気代は上がり続けているのでしょうか。効果的な削減策を講じるためには、まずその根本的な原因と、自社が置かれている現状を正しく理解することが不可欠です。この章では、電気代高騰のメカニズムと、大口需要家が抱える特有の課題について詳しく解説します。
電気料金を構成する3つの要素と高騰のメカニズム
毎月支払っている電気料金は、主に3つの要素で構成されています。それぞれの要素が、様々な要因で値上がりしていることが、電気代高騰の直接的な原因です。
構成要素 | 内容 | 高騰の主な要因 |
---|---|---|
1. 基本料金 | 電力の使用量に関わらず、毎月固定で発生する料金。過去1年間の最大需要電力(デマンド値)によって決定されます。 | 一度高いデマンド値を記録すると、その後1年間高い基本料金が継続するため、意図せず高止まりしているケースがあります。 |
2. 電力量料金 | 実際に使用した電力量(kWh)に応じて変動する料金。燃料費調整額が含まれます。 | 火力発電の燃料となるLNG(液化天然ガス)や石炭の輸入価格上昇が、燃料費調整額に直接反映され、料金を押し上げています。 |
3. 再エネ賦課金 | 再生可能エネルギーの普及を目的として、電気を使用するすべての需要家が負担する料金。 | 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)により、電力会社が買い取る費用が増加しており、それに伴い賦課金の単価も年々上昇傾向にあります。 |
世界情勢とエネルギー価格の変動が与える影響
電力量料金の高騰に最も大きな影響を与えているのが、国際的なエネルギー価格の変動です。日本の発電方式の多くは、依然としてLNGや石炭といった化石燃料に依存しており、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。
そのため、ウクライナ情勢のような地政学リスクや、産油国の政策変更によって燃料の供給が不安定になると、価格は瞬く間に高騰します。さらに、近年の急激な円安は、燃料の輸入コストを一層押し上げる要因となり、電気料金に二重の打撃を与えているのです。これらの外部要因は一企業の努力でコントロールできるものではなく、今後も経営の不安定要素として存在し続ける可能性が高いと言えるでしょう。
大口需要家(特別高圧・高圧電力)特有の課題
家庭などの低圧電力契約とは異なり、契約電力が50kW以上の「高圧電力」や2,000kW以上の「特別高圧電力」を契約する大口需要家には、特有の課題が存在します。
課題1:膨大な電力消費量による甚大な影響
工場や大規模施設では、生産設備や空調、照明などで膨大な電力を消費します。そのため、電力量料金の単価がわずか1円上昇しただけでも、月々の支払い額は数十万円から数百万円単位で増加し、企業の収益を大きく圧迫します。このインパクトの大きさこそ、大口需要家が最も深刻に受け止めるべき課題です。
課題2:基本料金を左右する「デマンド値」管理の難しさ
大口電力の基本料金は、30分ごとの使用電力の平均値のうち、月間で最も高かった「最大需要電力(デマンド値)」によって決定されます。そして、一度記録されたデマンド値は、原則としてその後1年間、基本料金の算定基準となります。例えば、夏の暑い日に複数の大型設備を同時に稼働させたことで、たった30分間だけ突出したデマンド値を記録してしまうと、その後11ヶ月間、実際の使用状況とは関係なく高い基本料金を支払い続けることになってしまうのです。この仕組みを理解し、適切に管理することが節約の鍵となります。
課題3:複雑化する電力会社の料金プラン
2016年の電力小売全面自由化以降、多くの「新電力」が参入し、大口需要家向けにも多様な料金プランが提供されるようになりました。選択肢が増えたことはメリットである一方、各社のプランは複雑で、どの会社・どのプランが自社にとって本当に最適なのかを見極めるのは容易ではありません。情報収集や比較検討に多大な労力がかかるため、結果として従来の契約を見直す機会を逃している企業も少なくないのが現状です。
放置するリスク:電気代高騰が経営に与える深刻なインパクト
電気代の高騰を「仕方のないコスト」として放置することは、企業の持続的な成長にとって大きなリスクとなります。コスト増加は直接的に利益を圧迫し、企業の体力を奪います。製造業であれば、製品の製造原価が上昇し、価格競争力の低下を招く恐れがあります。また、コスト削減のために本来行うべき設備投資や人材育成の予算が削られてしまえば、長期的な生産性の低下にも繋がりかねません。電気代の削減は、もはや単なる経費節約ではなく、変化の激しい時代を生き抜くための重要な経営戦略の一つなのです。
大口需要家が取り組むべき電力削減の3つのアプローチ
会社の電気代を削減すると一言で言っても、その方法は多岐にわたります。やみくもに施策を打つのではなく、まずはどのようなアプローチがあるのか全体像を把握することが重要です。大口需要家が取り組むべき電力削減のアプローチは、大きく分けて「契約の見直し」「設備投資」「運用の改善」の3つに分類できます。自社の状況、予算、そして目指す削減レベルに応じて、これらのアプローチを単独で、あるいは複合的に進めていくことが、電力コスト削減を成功させる鍵となります。
電力会社の切り替えで基本料金を節約する
最初に取り組むべき最も効果的なアプローチの一つが、電力供給契約そのものを見直すことです。2016年の電力小売全面自由化以降、高圧・特別高圧電力を利用する大口需要家も、地域の大手電力会社だけでなく「新電力(PPS:Power Producer and Supplier)」と呼ばれる新しい電力会社から自由に電気を購入できるようになりました。設備投資を必要とせず、契約を切り替えるだけで電気料金の単価が下がり、大幅なコスト削減が期待できるのが最大のメリットです。
供給される電気の品質や安定性は、送配電網を管理する従来の大手電力会社(一般送配電事業者)が担うため、新電力に切り替えても停電が増えるといった心配はありません。ただし、新電力各社は独自の料金プランや電源構成を提示しているため、単純な料金単価だけでなく、燃料費調整額の算定方法や契約期間の縛りなども含めて、年間の総支払額で比較検討することが不可欠’mark>です。自社の電力使用パターンを分析し、最もメリットの大きい電力会社とプランを選択することが求められます。
省エネ設備の導入で電力使用量を削減する
次に、電力使用量(kWh)そのものを削減するためのアプローチとして、省エネルギー設備の導入が挙げられます。これは、工場やオフィスビルなどで使用している旧式の設備を、エネルギー消費効率の高い最新の設備へと更新するものです。初期投資は必要となりますが、根本的な電力消費量を削減できるため、長期的かつ継続的な節約効果が見込めます。
代表的な例としては、照明のLED化、高効率な業務用空調設備(GHPやEHP)への更新、生産設備のモーターにインバータを導入するなどが挙げられます。これらの設備投資は、電気代の削減に直結するだけでなく、CO2排出量の削減にも貢献するため、企業の社会的責任(CSR)やSDGsへの取り組みとしても高く評価されます。また、国や地方自治体が提供する省エネ関連の補助金や助成金、税制優遇制度などを活用することで、投資負担を大幅に軽減することも可能です。投資対効果をしっかりとシミュレーションした上で、計画的に導入を進めることが重要です。
日々の運用改善で継続的な電力節約を目指す
設備投資や契約変更といった大きな改革だけでなく、日々の業務における運用の工夫を積み重ねることも、電力削減において非常に重要なアプローチです。この方法は、多額のコストをかけずにすぐに始められるものが多く、全従業員の意識改革によって大きな効果を生み出します。「塵も積もれば山となる」という言葉の通り、一つ一つの節約は小さくても、会社全体で取り組むことで年間を通じて大きなコスト削減に繋がります。
成功の鍵は、電力使用の「見える化」とルールの徹底です。BEMS(ビルエネルギー管理システム)などのエネルギー管理システムを導入して電力使用状況をリアルタイムで監視し、無駄が発生している箇所を特定することが改善の第一歩となります。その上で、具体的な運用ルールを策定し、全社で共有・実践することが不可欠です。
対象設備 | 具体的な運用改善策 | 期待される効果 |
---|---|---|
空調設備 | 室温の適正化(冷房28℃、暖房20℃目安)フィルターの定期的な清掃ブラインドや遮熱フィルムを活用した日射調整 | 消費電力の大きい空調の稼働を最適化し、使用量を削減する。 |
照明設備 | 昼休みや退勤時の一斉消灯の徹底不要エリア(会議室、倉庫など)のこまめな消灯自然光を最大限に活用する | 点灯時間を減らし、無駄な電力消費を抑制する。 |
OA機器 | PCやコピー機の省エネモード設定長期間使用しない機器のコンセントを抜く終業時の主電源オフの徹底 | 見過ごされがちな待機電力を削減する。 |
生産設備 | 設備の稼働スケジュールの最適化非稼働時のこまめな電源オフ定期的なメンテナンスによる稼働効率の維持 | 最大デマンド値を抑制し、基本料金の削減にも繋げる。 |
【方法別】会社の電力削減を成功させる具体的施策
大口需要家が取り組むべき電力削減アプローチは多岐にわたります。ここでは、多くの企業で導入され、高い効果を上げている4つの具体的な施策を掘り下げて解説します。自社の状況に合わせて最適な方法を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。
新電力への切り替えによる節約効果と注意点
2016年の電力小売全面自由化以降、多くの企業がコスト削減の第一歩として取り組んでいるのが「新電力(PPS)」への切り替えです。従来の地域電力会社よりも割安な料金プランを提供する事業者が多く、契約を見直すだけで年間の電気料金を大幅に削減できる可能性があります。
新電力は、自社で発電所を持つ事業者や、卸電力取引所から安価な電力を調達する事業者など様々です。競争原理が働くことで、多様で魅力的な料金プランが生まれています。電力の品質や安定供給は、どの会社から購入しても送配電網が変わらないため、従来と全く同じです。停電が増えるといった心配はありません。
ただし、切り替えを検討する際には、いくつかの注意点があります。メリットとデメリットを正しく理解し、自社に最適な事業者を選びましょう。
注意点 | 確認すべき内容 |
---|---|
料金プランの多様性 | 固定料金だけでなく、電力市場の価格に連動して料金が変動する「市場連動型プラン」も存在します。市場価格が高騰した際に電気代が急激に上がるリスクがあるため、プラン内容は慎重に確認が必要です。 |
契約期間と違約金 | 契約期間に縛りがあったり、期間内に解約すると違約金が発生したりする場合があります。契約前に契約期間と解約条件を必ず確認しましょう。 |
倒産リスク | 新電力事業者の経営状況も考慮すべき点です。万が一契約先の事業者が倒産した場合でも、すぐに電気が止まることはなく、セーフティネットとして地域電力会社から電気が供給されますが、再度契約先を探す手間が発生します。 |
シミュレーションの精度 | 過去12ヶ月分の電気使用量の明細書を基に、複数の事業者から見積もりを取り、詳細な料金シミュレーションを比較検討することが重要です。 |
デマンドコントロールで基本料金を大幅削減
高圧・特別高圧で受電する大口需要家の電気料金は、「基本料金」と「電力量料金」で構成されています。このうち、基本料金は過去1年間の最大需要電力(デマンド値)によって決まります。デマンド値とは、30分間の平均使用電力のうち、月間で最も大きかった値のことです。つまり、たった30分間だけ電力使用量が突出してしまうと、その後の1年間の基本料金が高くなってしまうのです。
このデマンド値を抑制し、基本料金を削減する有効な手段が「デマンドコントロールシステム(デマコン)」の導入です。
デマンドコントロールシステムは、電力使用量をリアルタイムで監視し、あらかじめ設定した目標デマンド値を超えそうになると、自動的に警報を発したり、空調などの設備を一時的に制御したりして、電力のピークを抑えます。これにより、無理なく継続的に基本料金の削減が可能です。
デマンドコントロールの仕組みと効果
- 監視:デマンド監視装置が30分間の電力使用量を常に監視します。
- 予測:このままのペースで電気を使い続けた場合の30分後のデマンド値を予測します。
- 警報・制御:予測値が目標値を超えそうな場合、管理者に警報(アラート)で知らせたり、事前に設定した優先順位の低い設備(主に空調室外機など)の運転を一時的に停止・抑制したりします。
特に、工場、大型商業施設、オフィスビル、病院など、空調設備の使用電力が大きい施設において高い削減効果が期待できます。BEMS(ビルエネルギー管理システム)と連携させることで、さらに高度なエネルギー管理も実現可能です。
LED照明や高効率空調への更新
電力使用量そのものを削減する最も根本的な対策が、省エネ性能の高い設備への更新です。特に照明と空調は、事業所の消費電力の大きな割合を占めるため、更新による削減効果は絶大です。
LED照明への更新
工場や倉庫で使われている水銀灯や、オフィスで一般的な蛍光灯をLED照明に切り替えることで、消費電力を50%~80%程度削減できます。さらに、LEDは寿命が非常に長いため、ランプ交換の手間やコストも大幅に削減できるというメリットもあります。初期費用はかかりますが、国や自治体の補助金制度を活用することで、投資回収期間を短縮することが可能です。
高効率空調への更新
10年以上前に設置された業務用空調設備は、現在の最新機種と比較してエネルギー効率が著しく低い場合があります。最新の高効率空調に更新することで、快適性を損なうことなく、消費電力を大幅に削減できます。特に、使用時間の長い建物の空調をまとめて更新することで、大きな節約効果が見込めます。こちらもLED照明と同様に、補助金制度の対象となるケースが多くあります。
自家消費型太陽光発電の導入メリット
工場の屋根や敷地内の遊休地を活用して太陽光発電システムを設置し、発電した電気を自社で消費する「自家消費型太陽光発電」も、近年注目されている手法です。電気を「買う」から「創る」へシフトすることで、多角的なメリットが得られます。
導入方法には、自社で設備を所有する「自己所有モデル」のほか、初期費用0円で導入できる「PPA(電力販売契約)モデル」や「リースモデル」などがあり、企業の財務状況に応じて選択できます。
メリット | 詳細 |
---|---|
電気料金の削減 | 電力会社からの買電量が減るため、電力量料金と、それに連動する再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を削減できます。 |
BCP(事業継続計画)対策 | 災害などによる停電時にも、自立運転機能を使えば非常用電源として活用でき、事業の継続性を高めます。 |
企業価値の向上 | 再生可能エネルギーの利用は、脱炭素経営やSDGsへの取り組みとして対外的にアピールでき、企業イメージの向上に繋がります。 |
遮熱効果による空調負荷軽減 | 工場の屋根などに設置することで、夏場は直射日光を遮り、室温上昇を抑制する効果があります。これにより空調の電力消費を削減できます。 |
大口電力削減をサポートする会社の選び方
電力コストの削減は、企業の利益に直結する重要な経営課題です。しかし、高圧・特別高圧といった大口需要家の電力契約は複雑で、自社だけで最適な削減策を見つけ出すのは容易ではありません。そこで頼りになるのが、電力削減を専門にサポートする会社です。ここでは、数ある選択肢の中から自社に最適なパートナーを見つけ出し、コスト削減を成功させるための会社の選び方を具体的に解説します。
実績豊富な電力コンサルティング会社を見つける
電力コンサルティング会社は、単に安い電力会社を紹介するだけでなく、企業の電力使用状況を詳細に分析し、設備導入や運用改善まで含めた総合的な視点から最適なコスト削減プランを提案・実行支援してくれる専門家集団です。長期的な視点で継続的な経費削減を目指すなら、信頼できるコンサルティング会社の選定が不可欠です。
選定時に確認すべき3つの重要ポイント
コンサルティング会社を選ぶ際には、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。
1. 大口需要家(高圧・特別高圧)向けの支援実績
家庭向けの低圧電力と、工場やビルなどで使用される高圧・特別高圧電力では、料金体系や契約の仕組みが全く異なります。そのため、自社と同じ契約種別(高圧・特別高圧)の支援実績が豊富かどうかは最も重要な判断基準です。公式サイトで同業種・同規模の企業の導入事例を確認したり、問い合わせ時に具体的な削減率や削減額の実績を提示してもらいましょう。
2. 提案内容の幅広さと中立性
優れたコンサルティング会社は、特定の電力会社や設備メーカーに偏ることなく、中立的な立場で企業にとって最善の策を提案します。新電力への切り替えだけでなく、デマンドコントロールシステムの導入、省エネ設備(LED、高効率空調など)への更新、自家消費型太陽光発電の設置、さらには国や自治体の補助金活用支援まで、幅広い選択肢の中から複合的な提案をしてくれるかを見極めることが重要です。
3. 料金体系の透明性
料金体系は主に「完全成果報酬型」と「固定コンサルティングフィー型」に分かれます。成果報酬型は削減額の一部を報酬として支払うため初期費用を抑えられますが、契約内容を詳細に確認しないと後々のトラブルに繋がりかねません。契約前に、どのような場合に費用が発生するのか、算出根拠は何か、追加費用は発生しないかなどを書面で明確に提示してくれる、透明性の高い会社を選びましょう。
コンサルティング会社選びのチェックリスト
候補となる会社を比較検討する際に、以下のチェックリストをご活用ください。
チェック項目 | 確認する内容 | なぜ重要か |
---|---|---|
実績と専門性 | 高圧・特別高圧の契約に関する導入事例や具体的な削減額。同業種の支援実績。 | 自社の状況と類似したケースでの成功体験は、信頼性を測る重要な指標となるため。 |
提案の多角性 | 電力会社の切り替え、デマンドコントロール、省エネ設備、太陽光発電、補助金活用など、提案の選択肢が豊富か。 | 企業の課題に対して、一つの解決策に固執せず、最も効果的なプランを期待できるため。 |
中立性 | 特定の電力会社やメーカーとの関係性。複数の選択肢を客観的に比較・提示してくれるか。 | 自社の利益を最優先にした、偏りのない最適な提案を受けるため。 |
料金体系 | 初期費用、成功報酬の条件、契約期間、解約条件などが明記された見積書や契約書。 | 後から想定外の費用を請求されるといったトラブルを防ぎ、安心して依頼するため。 |
サポート体制 | シミュレーションから契約手続き、導入後の効果測定やアフターフォローまで一貫して支援してくれるか。 | 専門知識がない担当者でも、削減完了までスムーズにプロジェクトを進行できるため。 |
一括見積もりサービスを活用する際のポイント
「まずは手軽に複数の選択肢を比較したい」という場合には、電力会社の一括見積もりサービスが有効です。Webサイト上で自社の電力使用状況などを入力するだけで、複数の新電力やコンサルティング会社から見積もりや提案を受け取ることができます。市場の価格感を把握し、比較検討の土台を作る上で非常に便利なツールです。
賢く利用するための3つの注意点
一括見積もりサービスを有効活用するためには、いくつかの注意点があります。
1. サービスの運営会社と提携先の信頼性
多くの企業が登録しているサービスは選択肢が豊富ですが、登録されている会社の質も重要です。サービスの運営会社自体の実績や、提携している電力会社の審査基準などを確認しましょう。個人情報保護方針(プライバシーポリシー)がしっかりと明記されているかどうかも、信頼できるサービスを見極めるポイントです。
2. 正確な情報提供で見積もりの精度を上げる
見積もりの精度は、提供する情報の正確さに大きく左右されます。サービスを利用する際は、直近12ヶ月分の電気料金明細書(検針票)を手元に準備しておくことを強く推奨します。電力使用量やデマンド値といった詳細なデータを入力することで、より現実的で精度の高い削減シミュレーションを得ることが可能になります。
3. 見積もり提示後のサポート体制を比較する
一括見積もりサービスには、単に見積もり結果を提示するだけのサイトと、その後の価格交渉や契約手続きまで専門スタッフがサポートしてくれるコンサルティング機能を持ったサイトがあります。自社に電力契約の専門知識を持つ担当者がいない場合は、見積もり後のフォローが手厚いサービスを選ぶことで、安心して最適な電力会社への切り替えを進めることができます。
会社の電力節約を成功に導く4ステップ
やみくもに施策を始めても、期待した効果は得られません。会社の電力削減を成功させるためには、計画的かつ段階的に進めることが不可欠です。ここでは、着実に成果を出すための具体的な4つのステップを解説します。
STEP1 現状の電力使用状況を把握する
効果的な電力削減の第一歩は、自社が「いつ」「どこで」「何に」電気をどれだけ使っているかを正確に把握することから始まります。現状を正しく理解することで、初めて効果的な打ち手が見えてきます。まずは、最低でも過去1年分の電力会社の検針票(請求書)や、スマートメーターのデータを準備しましょう。
特に大口需要家(高圧・特別高圧契約)の場合、電気料金の基本料金を決定する「最大デマンド値」の把握が極めて重要です。この数値を低く抑えることが、コスト削減に直結します。
確認項目 | 主な確認方法 | 把握することで見えてくること |
---|---|---|
契約電力・最大デマンド値(kW) | 電力会社の検針票(請求書) | 電気料金の基本料金を決定する要素。過去1年間のピーク値を確認する。 |
電力使用量(kWh) | 電力会社の検針票、スマートメーターのデータ | 月別・季節別の使用量の増減傾向、生産活動との相関。 |
電気料金の内訳 | 電力会社の検針票(請求書) | 基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金の割合。どこに削減の余地があるか。 |
30分ごとの使用量データ | スマートメーター、BEMS(ビルエネルギー管理システム) | 時間帯別の電力消費パターン、デマンド値がピークになる時間帯の特定。 |
STEP2 削減目標と予算を設定する
現状把握ができたら、次に取り組むべきは「いつまでに、どのくらい削減するのか」という具体的な目標設定です。明確なゴールを定めることで、施策の優先順位がつけやすくなり、関係者間の意識統一も図れます。
目標は「年間電気料金を15%削減する」「最大デマンド値を現状から50kW引き下げる」といった、誰が見ても達成度がわかる具体的な数値で設定することがポイントです。同時に、目標達成のために投じることができる予算の上限も決定します。省エネ設備の導入には初期投資が必要となるため、削減見込み額から投資回収期間(ROI)を算出し、経営的な視点で予算計画を立てることが求められます。
目標設定のポイント(SMART)
- Specific(具体的か):削減対象(料金、デマンド値など)と数値を明確にする。
- Measurable(測定可能か):検針票などで効果を測定できる指標にする。
- Achievable(達成可能か):現状分析に基づいた、現実的な目標を立てる。
- Relevant(関連性があるか):会社の経営方針(コスト削減、環境貢献など)と合致しているか。
- Time-bound(期限があるか):「1年後までに」など、明確な達成期限を設ける。
STEP3 専門会社へ相談しシミュレーションを依頼する
自社の状況と目標が明確になったら、電力削減のプロフェッショナルである専門会社へ相談しましょう。電力自由化以降、料金プランは複雑化しており、最適な省エネ設備や補助金制度の選定には専門的な知見が不可欠です。
電力コンサルティング会社や新電力会社、省エネ設備を取り扱う会社など、複数の選択肢があります。重要なのは、1社だけでなく複数の会社から提案と削減シミュレーションを取り、客観的に比較検討することです。シミュレーションを依頼する際は、STEP1で収集した詳細な電力使用状況データを提示することで、より精度の高い提案を受けることができます。
シミュレーションで確認すべきこと
- 削減額の根拠:どのような計算で削減額が算出されているか。
- 料金プランの詳細:新電力に切り替える場合、燃料費調整額の算定方法や契約期間、解約違約金の有無。
- 設備投資の費用対効果:初期費用、メンテナンス費用、保証期間、投資回収期間。
- 補助金・助成金の活用:利用可能な制度の提案と、申請サポートの有無。
- 導入後のサポート体制:効果測定やアフターフォローの体制は整っているか。
STEP4 施策の導入と効果測定を行う
比較検討を経て導入する施策が決定したら、いよいよ実行に移します。新電力への切り替え、デマンドコントロールシステムの設置、LED照明への更新など、計画に沿って着実に導入を進めます。設備導入の場合は、工場の稼働やオフィスの業務に支障が出ないよう、施工スケジュールを十分に調整することが大切です。
そして、施策の導入はゴールではありません。むしろここからが本番です。「導入して終わり」にせず、必ず効果測定を行い、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)のPDCAサイクルを回し続けることが、継続的な電力節約を成功させる鍵となります。定期的に導入前後の電気料金やデマンド値を比較し、目標達成度を確認しましょう。思うような効果が出ていない場合は、その原因を分析し、運用の見直しや追加施策の検討を行います。この地道な改善活動が、会社の利益体質を強化していくのです。
まとめ
電気料金の高騰が続く中、大口需要家にとって電力コストの削減は喫緊の経営課題です。本記事で解説した通り、電力会社の切り替え、デマンドコントロールやLED照明といった省エネ設備の導入、そして自家消費型太陽光発電の活用など、多角的なアプローチが存在します。まずは自社の電力使用状況を正確に把握し、専門のコンサルティング会社へ相談することから始めましょう。計画的に施策を実行することが、継続的な経費削減と企業価値の向上に繋がります。