「電気設備安全点検のお知らせが来たけど、立ち会いは必要?」「屋外だけで終わるって本当?」と疑問に思っていませんか。結論として、ご自宅に「スマートメーター」が設置されているか、漏電遮断器が屋外にあれば、点検は屋外のみで完了します。この記事を読めば、立ち会いの要否を判断する明確な基準がわかります。不在時の対応や点検の基本情報も解説しており、当日の不安を解消できます。
電気設備安全点検が屋外のみで完了する2つのケース
「電気設備安全点検」と聞くと、調査員が家の中に入ってきて、何時間もかかるのでは…と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご安心ください。特定の条件を満たしていれば、調査員が宅内に立ち入ることなく、屋外の確認だけで点検が完了します。この場合、ご不在時でも点検を進めてもらえるため、お忙しい方にとっては大きなメリットです。ここでは、その代表的な2つのケースについて詳しく解説します。
スマートメーターが設置されている場合
ご自宅の電気メーターが「スマートメーター」であれば、原則として屋外のみで点検が完了します。これは、近年の電気設備安全点検において最も一般的なケースです。
スマートメーターは、従来の円盤が回転するアナログ式メーターとは異なり、デジタルで電力使用量を計測し、通信機能を持っています。この通信機能が、点検をスムーズにする鍵となります。
具体的には、スマートメーター自体が微弱な漏洩電流(漏電の兆候)を検知する機能を持っているため、調査員が室内に入って分電盤で測定作業を行う必要がありません。調査員は屋外に設置されたスマートメーターの表示や通信状況を確認するだけで、漏電の有無を判断できるのです。
ご自宅のメーターがスマートメーターかどうかは、以下の特徴で見分けることができます。
メーターの種類 | 主な特徴 |
---|---|
スマートメーター | 電力使用量がデジタルで液晶画面に表示される回転する円盤(インダクションディスク)がない本体の厚みが比較的薄い |
従来型アナログメーター | 数字が並んだメーター(指示計器)がある電力使用量に応じて銀色の円盤が回転している全体的に厚みがあり、重厚な見た目 |
現在、全国の電力会社でスマートメーターへの交換が進められており、ほとんどのご家庭で設置が完了しています。そのため、多くの場合、電気設備安全点検は立ち会い不要の屋外作業のみで終わると考えてよいでしょう。
漏電遮断器(ブレーカー)が屋外に設置されている場合
もう一つのケースは、ご自宅の漏電遮断器(漏電ブレーカー)を含む分電盤が、屋外に設置されている場合です。たとえメーターが従来のアナログメーターであっても、この条件に当てはまれば屋外のみで点検が完了します。
電気設備安全点検では、漏電を検知した際に正しく電気を遮断するかを確認するため、漏電遮断器のテストボタンを押して動作を確認する作業が必須です。通常、分電盤は玄関や洗面所など室内に設置されていますが、一部の住宅では屋外のメーターボックスの隣などに設置されています。
点検に必要な漏電遮断器が屋外にあれば、調査員は敷地内には立ち入りますが、宅内に入ることなく点検作業をすべて完了させることができます。このタイプの住宅は、比較的新しい戸建てや、特定の建築様式を採用している住宅に見られます。
まとめると、屋外のみで点検が完了するのは、主に以下の組み合わせとなります。
パターン | メーターの種類 | 漏電遮断器の設置場所 | 点検場所 |
---|---|---|---|
ケース1 | スマートメーター | 室内・屋外を問わない | 屋外のみで完了 |
ケース2 | 従来型アナログメーター | 屋外 | 屋外のみで完了 |
ご自宅の状況がどちらかに当てはまるか、事前に電力会社から届く「電気設備安全点検のお知らせ」といった通知票で確認しておくと、当日の流れがスムーズに理解できるでしょう。
電気設備安全点検で室内への立ち入りが必要になる場合とは
電気設備安全点検は、条件が揃えば屋外のみで完了しますが、ご家庭の電気設備の状況によっては室内への立ち入りと点検が必要不可欠となります。これは、電気を安全にご利用いただくために法律で定められた重要なプロセスです。ここでは、調査員が室内に入って点検を行う具体的なケースを3つご紹介します。
従来型のアナログメーターが設置されている住宅
ご自宅の電気メーターが、黒い円盤が回転するタイプのアナログメーター(誘導型電力量計)の場合、室内での点検が必要になります。近年普及が進んでいるスマートメーターとは異なり、アナログメーターには通信機能がありません。そのため、漏電の有無などを遠隔で確認することができず、調査員が直接専用の測定器を使用して点検する必要があるのです。
調査員は、室内の分電盤で専用の測定器(絶縁抵抗計)を使い、漏電していないか、電気が安全に供給されているかを詳細にチェックします。この作業は、感電や電気火災といった重大な事故を未然に防ぐために極めて重要です。ご自宅のメーターがどちらのタイプか分からない場合は、電力会社からのお知らせや検針票をご確認ください。
分電盤や漏電遮断器が室内にある場合
ほとんどの戸建て住宅やマンション・アパートでは、分電盤(ブレーカーが集まっている箱)が玄関や洗面所、廊下など室内に設置されています。この分電盤の内部にある「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」が正常に作動するかを確認するため、室内への立ち入りが必須となります。
漏電遮断器は、漏電を検知した際に自動で電気を遮断し、火災や感電事故を防ぐための大切な安全装置です。点検では、調査員がテストボタンを押して、漏電遮断器が瞬時に作動するかどうかを実際に確認します。この試験を行う際、一時的に宅内の電気がすべて停電しますが、数秒から数十秒程度で復旧します。安全確保のための重要な点検ですので、ご理解とご協力をお願いします。
室内に分電盤がある場合の主な点検内容は以下の通りです。
点検項目 | 主な確認内容 |
---|---|
漏電遮断器の動作確認 | テストボタンを押し、正常に電気が遮断されるかを確認します。 |
配線の接続状況 | 分電盤内の配線に緩みや焦げ付き、過熱の跡がないかを目視で確認します。 |
アース(接地)の確認 | 感電防止のために重要なアースが正しく施工されているかを確認します。 |
絶縁抵抗測定 | 専用の測定器を使用し、屋内配線で漏電が発生していないかを数値で確認します。 |
漏電の疑いなど異常が検知された場合
スマートメーターが設置されており、通常は屋外のみで点検が完了するご家庭でも、室内での詳細な調査が必要になるケースがあります。それは、屋外での点検やスマートメーターから得られる情報によって、漏電などの異常の「疑い」が検知された場合です。
例えば、スマートメーターの通信機能を通じて微弱な漏電の兆候が記録されていたり、屋外の電気設備の目視点検で異常が見つかったりした場合がこれにあたります。このような状況では、異常の具体的な原因を特定し、危険な状態を解消するために、室内での精密な点検が不可欠となります。
調査員は、どの電気回路や家電製品が原因で漏電しているのかを突き止めるため、分電盤で回路ごとに絶縁抵抗を測定します。これは、目に見えない電気の異常からご家族の安全を守るための重要なステップです。異常の通知があった際は、速やかに点検を受け入れていただくことを強くお勧めします。
そもそも電気設備安全点検とは?知っておきたい基本情報
ある日突然、ポストに「電気設備安全点検のお知らせ」といった案内が入っていて、初めてこの点検の存在を知ったという方も多いのではないでしょうか。訪問販売や詐欺ではないかと不安に思うかもしれませんが、この点検は私たちの安全な暮らしを守るために法律で定められた、非常に重要な調査です。ここでは、電気設備安全点検の基本的な情報について詳しく解説します。
電気事業法に基づく4年に1度の定期調査
電気設備安全点検は、電気事業法という法律に基づいて、4年に1度以上の頻度で実施することが義務付けられている法定点検です。この点検は、ご家庭の電気設備が国の定める技術基準に適合しているかを確認し、漏電などによる感電事故や火災といったトラブルを未然に防ぐことを目的としています。
点検は、東京電力パワーグリッドや関西電力送配電といった、お住まいの地域を管轄する「一般送配電事業者」または、その委託を受けた調査会社が実施します。ご自宅の電気が安全な状態に保たれているか、専門家が定期的にチェックしてくれる、いわば「電気の健康診断」のようなものだとお考えください。
点検の費用は原則無料
電気設備安全点検を受けるにあたり、調査員から費用を請求されることは原則としてありません。無料で受けられます。この点検費用は、私たちが毎月支払っている電気料金の中に含まれているため、点検当日に別途支払いが発生することはないのです。
ただし、注意点もあります。点検の結果、電気設備に不具合(例えば、漏電や配線の劣化など)が見つかった場合、その修理や改修にかかる費用は、設置者であるご自身の負担となります。その場合でも、点検員がその場で修理作業を行って高額な料金を請求するようなことはありません。後日、ご自身で電気工事店などに依頼していただく形になります。「今すぐ直さないと危ない」などと不安を煽り、高額な契約を迫る業者は悪質なケースが考えられるため、注意が必要です。
点検の所要時間と立ち会いの必要性
点検にかかる時間や、ご家族の誰かが家にいる必要があるか(立ち会い)どうかは、点検の範囲によって異なります。屋外の設備のみで完了するのか、室内の分電盤まで確認する必要があるのかで大きく変わります。
屋外のみの点検にかかる時間
スマートメーターや漏電遮断器が屋外に設置されているご家庭では、屋外の設備を確認するだけで点検が完了します。この場合の所要時間は5分から15分程度と非常に短く、ご不在でも点検は実施されます。そのため、立ち会いは原則として不要です。点検が完了すると、結果を記載した「電気設備安全点検結果のお知らせ」などの書面がポストに投函されます。
室内点検まで行う場合の所要時間
従来型のアナログメーターや、分電盤(ブレーカー)が室内にあるご家庭では、調査員が室内に入って点検を行う必要があります。この場合の所要時間は15分から30分程度が目安となり、必ず立ち会いが必要です。調査員が分電盤の蓋を開けて測定器による絶縁抵抗値の測定などを行うため、ご在宅いただく必要があります。事前に投函される案内に記載された訪問日時を確認し、都合が悪い場合は連絡して日程を再調整しましょう。
点検範囲 | 所要時間の目安 | 立ち会いの要否 |
---|---|---|
屋外のみで完了する場合 | 約5分~15分 | 原則不要(不在時でも実施) |
室内での点検も必要な場合 | 約15分~30分 | 必須(在宅が必要) |
電気設備安全点検に関するよくある質問
電気設備安全点検について、多くの方が抱く疑問や不安をQ&A形式で解説します。点検の通知が来て戸惑っている方も、この章を読めば安心して点検に臨めるようになります。
点検は拒否したり断ったりできるの?
結論から言うと、電気設備安全点検を正当な理由なく拒否することはできません。この点検は、電気事業法という法律に基づいて、お客さまの電気設備が国の定める安全基準に適合しているかを確認するために実施されるものです。
漏電やそれに伴う火災などの危険を未然に防ぐための重要な調査であり、お客さまだけでなく、近隣の安全を守るという公共の目的も含まれています。そのため、ご協力をお願いしています。
もし、訪問してきた調査員が不審に思える場合は、その場で点検を承諾せず、必ず「身分証明書」の提示を求めてください。そして、チラシに記載されている電力会社の営業所や調査機関の連絡先に電話をして、正規の調査員かどうかを確認することをおすすめします。正規の調査員が点検費用を請求したり、物品を販売したりすることは絶対にありませんので、ご注意ください。
点検の日に不在や留守の場合はどうなる?
点検当日にご不在だった場合の対応は、点検の内容によって異なります。
屋外の点検のみで完了する場合は、ご不在でも問題ありません。調査員が敷地内(電力メーターが設置されている場所など)に立ち入らせていただき、点検を実施します。点検が完了すると、「電気設備安全点検結果のお知らせ」といった書類がポストに投函されますので、内容をご確認ください。
一方で、室内での点検が必要な場合は、ご不在だとその日の点検はできません。その場合、調査員は「ご不在連絡票」をポストに投函します。お手数ですが、連絡票に記載されている方法(電話やウェブサイト)で、ご都合の良い日時を再度調整していただく必要があります。
点検の種類 | 不在時の対応 |
---|---|
屋外のみで完了する点検 | 調査員が点検を実施し、結果を記載したお知らせをポストに投函します。お客さまの立ち会いや再調整は不要です。 |
室内での点検が必要な場合 | 点検ができないため、「ご不在連絡票」が投函されます。連絡票に従って、改めて訪問日時を調整する必要があります。 |
電力会社ではなく委託業者が来るのはなぜ?
「東京電力」や「関西電力」といった電力会社の名前で案内が来たのに、訪問してくるのが「〇〇保安協会」などの見慣れない名前の業者で、不思議に思う方もいるかもしれません。
これは、電力会社が法律で定められた調査業務を、国の定めた要件を満たす専門の調査機関に委託しているためです。地域によって委託先は異なりますが、例えば以下のような調査機関が点検を行っています。
- 一般財団法人 北海道電気保安協会
- 一般財団法人 東北電気保安協会
- 一般財団法人 関東電気保安協会
- 一般財団法人 中部電気保安協会
- 一般財団法人 北陸電気保安協会
- 一般財団法人 関西電気保安協会
- 一般財団法人 中国電気保安協会
- 一般財団法人 四国電気保安協会
- 一般財団法人 九州電気保安協会
- 沖縄電気保安協会
これらの調査機関の調査員は、必ず電力会社から委託されていることを証明する顔写真付きの「身分証明書」を携帯しています。訪問時には制服を着用し、最初に身分を明かしますので、安心してご対応ください。もし不安な場合は、遠慮なく身分証明書の提示を求めましょう。
マンションやアパートなど集合住宅での点検は?
マンションやアパートといった集合住宅の場合、点検の進め方は戸建て住宅と少し異なります。
多くの場合、建物の管理会社やオーナー(大家さん)が電力会社や調査機関との窓口となり、点検の日程調整を一括で行います。そのため、点検の案内は、電力会社から直接ではなく、管理会社などから掲示板への貼り紙や各戸へのチラシ配布といった形でお知らせされるのが一般的です。
点検内容は、共用部分(共用分電盤など)の点検と、各お部屋(専有部分)の点検に分かれます。共用部分の点検は、管理会社の担当者立ち会いのもとで行われることがほとんどです。
各お部屋の点検については、建物全体でスマートメーターが導入されていれば、屋外のメーターを確認するだけで完了し、室内への立ち入りが不要なケースが増えています。しかし、室内に分電盤がある場合や漏電の疑いがある場合は、室内点検が必要になります。その際は、事前に告知された日時に在宅していただくか、個別に日程を再調整することになります。
集合住宅の点検についてご不明な点がある場合は、まず電力会社に問い合わせる前に、マンションの管理会社やオーナーに確認するとスムーズに解決することが多いです。
まとめ
本記事では、電気設備安全点検が屋外のみで完了するケースと室内点検が必要な場合について解説しました。ご自宅にスマートメーターが設置されている、または漏電遮断器が屋外にある場合は、原則として屋外作業のみで点検が完了します。一方で、アナログメーターや室内に分電盤がある場合は室内への立ち入りが必要です。この点検は電気事業法に基づく無料の定期調査であり、安全な暮らしに不可欠です。お知らせが届いたら、ご自宅の状況を確認し、スムーズな点検にご協力ください。